最新記事

スイス

5歳にして3カ国語操る子供──マルチリンガルだらけ、スイス人家庭の実態とは

2018年12月14日(金)18時15分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

レベルはどうあれ、自信も大切

スイスのように「石を投げればマルチリンガルに当たる」状況でなくても、ヨーロッパには、現地語と英語のバイリンガルは当たり前の国もあるしマルチリンガルもどこにでもいる。ヨーロッパと日本は状況が違うので単純に比較することはできないが、日本人はなぜ「英語が苦手」の意識が強いのか。日本人が想定するバイリンガルの基準が非常に高いことも、その一因だろう。完璧に話さなければと思うあまり萎縮してしまうのだ。

ヨーロッパ人は「自分は語学ができる」という自負が強いと感じる。「英語は何でもわかるから」が口癖のスイス人の友人は、英語で会話していると「いまの、よくわからなかった。もう1度言って」と頻繁に言うし、フランス語を筆者より流ちょうに話す別の友人は、書いたものを見せてもったら間違いだらけで驚かされたこともある。

限られた文章を話す英語レベルの日本人に対して「上手だ」と言うヨーロッパ人は多い。これは実際に使うことが大事という彼らの感覚からして、お世辞ではなく本心だと思う。日本に住んでいると、多くの日本人は英語を学ぶ必要性を感じないかもしれない。それでも、ヨーロッパ人感覚で「少しでもできればバイリンガル」を目指していくことは、国際化を掲げている日本にとって、やはり大切なのでは?

s-iwasawa01.jpg[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」理事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルとハマス、合意違反と非難応酬 ラファ検問

ビジネス

再送ネクスペリア巡る経済安保懸念が波紋、BMW「供

ビジネス

再送-IMF専務理事「貿易を成長の原動力に」、世界

ビジネス

ウォラーFRB理事、入手可能なデータは雇用低迷示唆
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 4

    「これからは女王の時代」...ヨーロッパ王室の6人の…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    ハン・ガンのノーベル文学賞受賞はなぜ革新的なのか?…

  • 1

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 2

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的な…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 5

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:日本人と参政党

特集:日本人と参政党

2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る