最新記事
物理学

アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな重力の謎

Einstein's Theory of General Relativity Faces Challenge

2024年11月15日(金)14時00分
イアン・ランドール

アインシュタインの一般相対性理論によると、質量をもつ物体は時間と空間を歪める。ベッドの上にボウリングボールを置くとマットレスが変形するように。

宇宙の織り成すこの変形が、我々の経験している重力だとアインシュタインは説く。

例えば惑星や恒星のような物体の周辺の時空の歪みは、それ自体の小さな「重力井戸」の中にある。

その井戸を通過した光がまるで拡大鏡を通過したように屈折する現象は、重力レンズと呼ばれる。

一般相対性理論のこの側面は、同理論が発表された4年後の1919年、日食の際に行われた実験を通して確認された。

イギリスの天文学者アーサー・スタンリー・エディントンとフランク・ワトソン・ダイソンは、太陽の重力井戸が遠く離れた恒星からの光を屈折させることを実証した(日食で太陽が遮られている間に観測)。まさに相対性理論が予測した通りだった。

屈折率は、空間とともに時間の屈曲を考慮しなかったニュートン物理学の予測の約2倍だった。

それでも普遍的なスケールでアインシュタインの理論が正しいのかどうかという疑問は残る。

今回の研究では「ダークエネルギーサーベイ」のデータを利用した。同プロジェクトは、暗黒エネルギーと呼ばれる目に見えない謎の力の作用とされる宇宙の膨張の加速を測定している。

「これまでダークエネルギーサーベイのデータは、宇宙の物質の分布を測定するために使われてきた」。論文を執筆したUNIGEの宇宙学者カミーユ・ボンバン教授はそう解説する。「我々の研究では、このデータを使って時間と空間の歪みを直接的に測定し、我々の発見とアインシュタインの予測を比較することができた」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国の証取、優良上場企業のリファイナンス支援 審査

ビジネス

欧州、ユーロの国際的役割拡大に備えを=オーストリア

ワールド

キューバの燃料事情は「危機的」とロシア、米の締め付

ビジネス

ユーロ圏投資家心理、2月は予想上回る改善 25年7
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 3
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 6
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    背中を制する者が身体を制する...関節と腱を壊さない…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中