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上位表示20%が偽情報のTikTok──偽医療情報だけでなく、政治に関するフェイクもいっぱい

Beware the “New Google”

2022年11月2日(水)13時56分
ジャック・ブリュースター(ニューズガード上級アナリスト)

ウクライナ情報も虚偽

例えば「2020年の大統領選は盗まれたのか?」で検索すると、トップには「あの選挙は盗まれた!」と題する今年7月作成の動画が出てきた。

同様な虚偽の主張を含む動画は、検索結果上位20位までに合計6点あった。なおグーグルで同じ検索をしてみると、結果のほとんどは「2020年の大統領選は盗まれた」という主張を否定するもので、虚偽情報の拡散に加担するものは皆無だった。

私たちの調査では、TikTokの検索エンジンが若い人たちに健康上の誤った情報を送っていることも判明した。例えば新型コロナの感染予防に使われる「mRNAワクチン」で検索すると、検索結果上位10位のうち5点には虚偽の主張が含まれていた。

一方、グーグルで同じ検索をすると、表示されたのは公的機関や著名な医療機関の提供する中立的な情報だった。

多数の民間人が虐殺されたウクライナの都市「ブチャ」で検索してみると、TikTokでは真っ先に「ブチャは捏造」と題する動画が出てきた。2、4、9、12、14番目も、虐殺をフェイクまたは偽装と決め付けるものだった。

それでもTikTokは最近、なぜか「学習プラットフォーム」を自称し始めた。若者のSNS利用が減っているというデータに危機感を抱いたのかもしれない。

この6月には新たな集客キャンペーンを立ち上げ、こんな宣伝文句を掲げている。いわく、「TikTokで見つかる知識は無限です」。

ご冗談を。正しくは「見つかる嘘は無限」だろう。

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