最新記事

SNS

上位表示20%が偽情報のTikTok──偽医療情報だけでなく、政治に関するフェイクもいっぱい

Beware the “New Google”

2022年11月2日(水)13時56分
ジャック・ブリュースター(ニューズガード上級アナリスト)

221108p56_TIK_02vert.jpg

IN PICTURES LTD.ーCORBIS/GETTY IMAGES

TikTokの公式データによれば、今年第1四半期にガイドライン違反で削除した動画は1億200万本以上。ただし「有害な偽情報」を含む「信憑性ガイドライン」違反で削除されたものは全体の1%に満たない。

なおTikTokのウェブサイトによれば、新たに投稿された動画は全てAIによる審査を受け、そこで問題ありとされた投稿は自動的に削除されるか、人間の判定員による審査に回されている。

TikTokで検索なんて、と言うなかれ。先頃グーグルが発表したところでは、若い世代では情報検索に当たってグーグルよりもTikTokを使う人が増えているらしい。

第三者による調査でも、2021年にはTikTokがグーグルを抜いて、世界で最もよく利用されるウェブサイトになったという。去る8月には有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルも、TikTokを「新しいグーグル」と呼んでいる。

TikTokの運営やデータ収集のやり方、そして中国政府とのつながりには問題が多いとされる。TikTokの親会社であるバイトダンスは中国のインターネット大手で、中国政府が一部出資している。

またTikTokの利用者は民主主義陣営の西側諸国でこそ増え続けているが、なぜか中国国内では利用が禁じられている。

私たちは今年9月、TikTokとグーグルの検索結果を比較検討してみた。検索事項は前回の米大統領選、新型コロナ、ウクライナ戦争、米中間選挙、人工妊娠中絶など、話題のニュース27件だ。

するとTikTokでは、検索結果の上位20点までに虚偽の主張を含む動画がいくつも表示された。対してグーグルの検索結果は比較的に品質が高く、より中立的で、虚偽情報はずっと少なかった。

また27件の検索結果上位20位までに表示された動画540点を調べたところ、TikTokでは105点(全体の20%弱)に虚偽または怪しげな主張が含まれていた。

政治に関するニュースでは、前回の米大統領選や昨年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件などを検索してみた。するとTikTokでは、しばしば検索結果のトップに偽りの怪しげな主張(陰謀論を拡散するQアノンの主張を含む)が表示された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

紛争終結へトランプ氏努力支持、ウクライナの関与必要

ワールド

欧州首脳、13日にオンライン会合 米ロ首脳会談前に

ワールド

ウクライナ、ロシアのミサイル部品工場標的にドローン

ワールド

コロンビアのウリベ上院議員が死亡、6月に銃撃 大統
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 2
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 3
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋肉は「光る電球」だった
  • 4
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 7
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 10
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中