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インド13億人の「生体認証」国民IDに、知られざる日本企業の貢献

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2019年3月8日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

写真はイメージです MadKruben-iStock.

<インド社会を変える――。そう期待されているのが、2009年から導入された国民IDシステム「Aadhaar(以下アドハー)」。既に12.3億人以上が登録し、公共福祉サービスが効率的に支払われるようになり、不正行為も激減した。この制度を支えるのが日本の技術ということは、あまり知られていない>

インド東部ビハール州ガヤに暮らすシャーシ・ランジャン(27)は、先祖代々、米や穀物、玉ねぎなどを扱う小さな農場を経営してきた。貧しいが、家族6人でなんとかギリギリ食べていけるような暮らしぶりだった。

ところが昨年、深刻な干ばつが発生。ビハール州政府は、ガヤなどを干ばつ被害地域に宣言し、同時に支援金を農家などに支払うと発表した。

「これまでなら、私の家族も近所の農家たちも、支援金を出すと言われても時間の無駄だと思って申請すらしなかった」と、ランジャンは言う。

だが「今、そんな懸念はもうない」。インド政府が2009年から、生体認証を使って国民1人ひとりに固有のIDを発行する「アドハー」と呼ばれるシステムを導入したからだ。この国民IDシステムの管理によって透明性が格段に向上したことで、支援金や補助金など公共福祉サービスが効率的に支払われようになり、不正行為も激減した。

「自分が生きている間にこうした支援を受け取れるようになるとは想像すらできなかった。オンラインで申請すると干ばつの支援金はすぐに支払われたし、今までは夢の話だと思っていた、政府によるミミズ堆肥のための農業支援金なども受け取れるようになったのです」と、ランジャンは嬉々として話した。

現在、13億人が暮らすインドで、実に12.3億人以上の国民が、強制ではないこのアドハーに登録を済ませている(2018年12月31日現在)。この制度がインドの社会を劇的に変える可能性があると期待されている証左だ。

実は、そんな野心的なアドハーのシステムを、日本の技術が支えていることはあまり知られていない。その技術を提供しているのは、生体認証技術で世界的に高い評価を受けているNECだ。

NECの技術が基盤となっているアドハーは、インドの固有識別番号庁(UIDAI)によって登録が進められている生体認証IDシステムで、国民の名前や住所、生体情報を収集して管理する。システムに登録された国民1人ひとりに12桁の数字からなるIDを発行し、役所などの公共機関や銀行はこの固有のIDを使って社会保障の受け取りや銀行口座開設の本人確認をスムーズに行うことができる。

この「デジタル化」されたIDシステムによって、冒頭のランジャンのような国民が、公共サービスや福祉支援、金融サービスを公平に享受できるようになっている。またインドの成長の足かせとも言われ、長年にわたって深刻な問題となっていた汚職や不正が減ったことで、政府はこれまでに124億ドル(約1.37兆円)の不正支出をなくすことに成功している。

アドハーにより国民のみならず政府も恩恵を受けている現状は、世界的にも評価されている。2018年にノーベル経済学賞を受賞した、世界銀行の元チーフエコノミストで、ニューヨーク大学の教授であるポール・ローマーはアドハーの効果についてこう言及している。

「インドのこのシステムは、私がこれまで見てきた中で最も高度なものだ。金融取引などを伴うすべてのやりとりの基盤になっている。これが広く導入されることになれば、世界にも有益となるはずだ」

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