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デジタルと伝統を融合させ日本の魅力を世界に伝えるクールジャパン・マッチングアワード2022

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2022年7月15日(金)11時00分

クールジャパン・マッチングアワード2022受賞作品

歴史や食、伝統芸能やアニメなど多岐に渡るコンテンツがさまざまなテクノロジーや技術革新を足掛かりに世界に発信された。注目すべきは、いずれの取組もただコンテンツを世界に発信するにとどまらず、高い社会貢献性がある点だ。グランプリをはじめとして受賞した9つの取組を順に紹介しよう。

(1)グランプリ

チーム対戦型シューティングゲーム『Rogue Company』

取組名:ゲームを通じて京都の世界発信、文化財保全に貢献
「チーム対戦型シューティングゲーム『Rogue Company』"Kyoto Job"連携プロジェクト」
受賞者(連携先):KPMGコンサルティング株式会社、京都市(Hi-Rez Studios, Inc.)

この取組の特徴は、京都の文化財を人気ゲームのステージ上に再現し、その魅力を海外に伝えることに成功していることだ。

基本プレイ無料のサードパーソン・シューティングゲーム「Rogue Company (ローグカンパニー)」上にて京都の文化財が再現されたステージ"Kyoto Job"は、米国のゲームパブリッシャーのHi-Rez Studiosの意向を受けて、KPMGコンサルティングが企画し、京都市の協力により実現した。感染症対策のために外国人の京都観光が困難になるなか、世界で2,000万人以上の同ゲームのユーザーがオンライン上で京都の街並みを体験でき、収益の一部を京都市に寄付する仕組みとしている。これにより、京都の魅力の世界発信、新たなファンの獲得、ひいては今後の文化財の保全につながることが期待できる。

「Rogue Company」はこれまでも世界中のリアルな街をテーマにしてゲームを展開しているが、京都の街並みをゲームのなかに再現するというのは、他の都市と比べても難易度が極めて高く、またゲーム性も複雑になる。京都市の正式な協力のもと、コロナ禍で訪問できない京都をゲームの中で楽しめるこの試みを高く評価していると審査員長である夏野剛氏は語っている。

(2)準グランプリ

日本の食のワンストッププラットフォーム「byFood.com」

取組名:日本の食のワンストッププラットフォーム「byFood.com」
受賞者(連携先):株式会社テーブルクロス(余市町、余市LOOP)

この取組の特徴はSNSを有効活用して、日本の食の情報を世界に発信しているところだ。

「byFood.com(バイフードドットコム)」は、動画とブログ、食体験予約、レストラン予約、eコマースの機能を海外にも提供する日本の食のワンストッププラットフォームだ。訪日外国人の地域観光の誘導ポイントとして地域の食を活用してきたが、感染症対策で訪日が困難になるなか、北海道余市町、余市LOOPとは余市町の紹介を始め、地産地消の食事と日本ワインのマリアージュなど動画を通じて配信する取り組みを行った。「byFood」は、SNSで世界20万人に定期的に情報を発信、世界のYouTubeクリエイターと動画を作成、YouTubeチャンネルの登録者は8万人、動画再生回数400万回に達した。また1人の予約につき10食の学校給食を途上国の子どもたちへ寄付する社会貢献も行っている。

さらに受賞者によると、東京や大阪などの都心部だけでなく、地方都市の経済を回し地域の食文化を次世代に伝えるエコシステム化も目指しているという。

(3)準グランプリ

日本映画の海外展開のためのBtoBプラットフォーム「フィルミネーション」

取組名:日本映画の海外展開のためのBtoBプラットフォーム「フィルミネーション」
受賞者(連携先):フィルミネーション株式会社
(田辺・弁慶映画祭、風楽創作事務所、株式会社 16bit.、株式会社ファンファーレ・ジャパン、株式会社スポッテッドプロダクションズ、AMGエンタテインメント、名古屋テレビ放送株式会社)

この取組の特徴は、日本を題材とした映像作品を海外で流通させるための手続きを効率化しているところだ。

世界的に配信で映画を見る機会が増え、映画の海外展開のための取引もオンライン上で行われることが増えた。「フィルミネーション」はこうした日本映画の海外配信に向けたオンライン取引プラットフォームとして、日本の映画の権利者は日本語のみで、海外の取引先は英語のみで、契約を進めることができるシステムを開発し、日本の映画の権利者に提供している。映画祭にも協力を得て、1年間で300以上の契約が成立した。

興味深いのは、関係者の半数以上が海外居住経験者で、試視聴用の映画をプラットフォームにアップし海外取引先に知らせて契約を進める業務自体も、世界各地からのテレワークで進めているところだ。働く場所を選ばない点も、新時代の取組を感じさせる。

(4)バリューチェンジ特別賞

ロボットによって障害や国境を超えて働ける世界を実現「分身ロボットカフェDAWN ver.β」

取組名:ロボットによって障害や国境を超えて働ける世界を実現「分身ロボットカフェDAWN ver.β」
受賞者(連携先):株式会社オリィ研究所
(OriHimeパイロット、日本電信電話株式会社、バイオジェン・ジャパン株式会社、三井不動産株式会社、他16団体)

この取組の特徴は、身体障害者や子育て中のひと、入院中や家族の介護中のひとなどさまざまな背景を持ち外出が困難なひとの社会との接点を生み出しているところだ。

「分身ロボットによる外出困難者のテレワーク」という新たな働き方を提唱し、2018年から多くの当事者との協働による4回のイベントカフェを開催。2021年6月に常設実験店「分身ロボットカフェDAWN ver.β」を開設した。2021年9月のアルス・エレクトロニカ(オーストリア)では現地の人が日本橋の分身ロボットOriHimeにログインして「分身ロボット来店」する実験を実施。現在は日本全国にいる重度障害を持つ外出困難者を始め、オーストラリアにいる子育て中の女性など、さまざまな理由で「外出困難」な約70人がOriHimeパイロットとして働いている。

(5)リーディングエクスポート特別賞

和菓子やお茶のサブスクモデルの越境EC「Sakuraco」

取組名:和菓子やお茶のサブスクモデルの越境EC「Sakuraco」
受賞者(連携先):株式会社ICHIGO(神奈川県、横浜信用金庫、丸イ食品株式会社)

この取組の特徴は、地方の小さなメーカーが作る、文化的価値の高い和菓子や日本茶を150か国以上もの国へ届けているところだ。

2015年から越境ECの事業を行っているICHIGOは、訪日外国人に人気の日本の和菓子のアソート(詰め合わせ)をオンラインでも提供するため、2021年にサブスク(定期課金)モデルで地方の老舗メーカーの和菓子とお茶を詰めたオリジナルボックスを全世界向けに販売する「Sakuraco」を開始。同年に神奈川県と連携し、県内のメーカーの製品を詰め合わせたオリジナルボックスを販売した。2021年のサービス開始から約1年で16万個以上のオリジナルボックス、320万個以上のお菓子を販売、2022年3月までに全国60のメーカーに取引を広げ、2022年12月までに8つの自治体と連携を予定している。

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