ハリス氏惨敗の背景に「アメリカ中流階級の生活苦の悲鳴」が聞こえる

CASH CRUNCH

2024年11月8日(金)13時00分
ジョシュア・レット・ミラー(本誌記者)

「正直言って、生活はかなり苦しい」とムーアは言う。「クレジットカードのおかげで生き延びているようなものだ。カードなら毎月の返済額を抑えることができるから」

現在は友人の実家に居候しているが、フードスタンプ(低所得者向け食料クーポン)の受給資格は失ってしまったため、1週間の食費を100ドル以下に抑えるのに必死だ。定期的な貯蓄はほとんどできない。

アメリカンドリームなんて夢のまた夢だ。「夢見る以前に乗り越えなければならないハードルが多すぎる」と、ムーアは浮かない顔で言う。


インフレが収束し、雇用指標も良好だから、米経済は景気後退を回避できるという見方に、ムーアは同意できない。経済指標は、多くのアメリカ人の置かれた状況を反映していないというのだ。

「数字は良好でも、私たちはとうてい明るい気分にはなれない」とムーアは言う。「指標が物語ることは、経済の末端で起きていることとは全く違う気がする」

ムーアと同じように、多くのアメリカ人はクレジットカードで生活費の支払いをしている。ニューヨーク連邦準備銀行によると、今年4〜6月期のアメリカの家計のクレジットカード債務残高は過去最高の1兆1400億ドルに達した。前年と比べて5.8%もの増加だ。

クレジットカードは、「あとで返済できる収入だと思っている」と、ムーアは語る。「いつも限度額ぎりぎりまで使い切っているのは、とにかく生活費が高いから。贅沢をしているわけじゃない」

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