コラム

娘を撮り続ける「ファミリーフォトジャーナリズム」とは何か

2015年12月08日(火)11時55分

 そうした作品の特性は、コイン自身の子供時代の経験からきているのかもしれない。彼女はこう語る。「(私自身の)子供時代のことはほとんど思い出の中にしかない。子供の頃、父親のカメラが盗まれたこともあり、また2番目の子供だったこともあって、私の写真はほとんど残っていないから......。だから(娘に対する)写真のアプローチには、きっと子供時代のファンタジーを喚起したいという願望がある」

 また、コインはこうも語った。「娘は私になかなかなついてくれなかった。そばに寄ってきてくれなかった」のだと。

 彼女の娘グレッタは、小さい頃から常に慢性的な病気に悩まされてきた。実際、今もそうだ。それが「いつも心配で仕方がない」とコインは言う。こうしたことが、コインの客観的な撮影スタイルと重なり、ダークだが深みのある作品になっているのである。最後に一言、彼女は付け加えた。

「娘が許す限り、このプロジェクトはずっと続けていきたい」

今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Gwen Coyne @gwencoyne

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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