Picture Power

戦場の生と死のはざまを見つめて

Bearing Witness

Photographs by Paolo Pellegrin

戦場の生と死のはざまを見つめて

Bearing Witness

Photographs by Paolo Pellegrin

コソボからアルバニアへ避難してきた住民(99年)

 世界の紛争地域を渡り歩くフォトグラファー、パオロ・ペレグリンは2006年、イスラエルの侵攻を受けたレバノン南部の町ティールにいた。爆発音を聞いて現場に駆け付けると、1人の男が道に倒れてもがいていた。「助けるか、それとも死にざまを撮影するか」。彼がそう迷ったとき、2発目のミサイルが男を襲った。男は暗殺の標的だったのだろう。

 ミサイルはペレグリンのわずか数メートル前方に落ちたが、大きなけがは負わずに済んだ。彼はカメラを手につかみ、瀕死の男の写真を3枚撮った。この場面に自分が居合わせた意味とは何か、目撃者となって物語を伝える大切さとは何か、自問しながら----。

 新刊写真集に掲載されたインタビューでペレグリンはこう語っている。「危険はある程度までコントロールできるが、その一線を越えると選択の問題になる。左に行くか、右に行くか。この道を行くか、あの道を行くか。すべての選択が紛争地域では死につながる。経験や知識、直感をフルに働かせても、自分ではコントロールできない領域がある」
 
 危険な状況に身を投じ、生と死の目撃者になること。その使命感を胸に、ペリグリンは再び紛争地帯へと向かう。

 新刊本 "DIES IRAE"(伊コントラスト社刊)

Photographs by Paolo Pellegrin-Magnum Photos Tokyo
 [2011年6月8日号掲載]

MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 4
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 5
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 6
    トランプが誤算? イラン攻撃延期の舞台裏、湾岸諸国…
  • 7
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 8
    100年の時を経て「週40時間労働」が再び労働運動の争…
  • 9
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 10
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中