コラム

「日本ネット企業の雄」だった楽天は、なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」

2023年05月30日(火)17時49分

日本では同社について、米アマゾンや中国のアリババなどに対抗できるネット企業として高く評価する向きがある一方、同社はテクノロジー企業ではなく、アマゾンやアリババと同じ土俵では戦えないとする冷めた見方も多かった。

実際、アマゾンやアリババが高度な技術力を駆使して次々と革新的なサービスを展開するなか、楽天は出店者から出店料を徴収する事業形態から脱却できず、高度な物流網の構築やAI(人工知能)を使った販促システム、大規模なクラウド・サービスのいずれも実現していない。

直近の決算では、約20兆円の総資産に対して自己資本はわずか8700億円と4%程度にまで減少しており、財務的には危険水域に近づきつつある。楽天銀行の上場と公募増資で得た約4000億円はいわば最後の軍資金であり、これで携帯事業黒字化のメドが立たなかった場合、同社の選択肢は限られてくる。

ハイテク企業と似て非なる存在だった同社の姿は、IT後進国となった日本そのものといえるかもしれない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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