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FXとは? 初心者にもわかりやすくメリットとリスクを解説

2024年01月31日(水)13時18分

FXとは?

FX(外国為替証拠金取引)とは?


FX(外国為替証拠金取引)は、2つの通貨を選び、売値と買値の差によって利益を得る。例えば、日本円と米ドルの2つの通貨を選んだとする。日本円を売り、米ドルを買ったとき1ドルの価値が140円であったと仮定する。


円安が進み1ドルの価値が150円となった場合は、ポジションを解消するために米ドルを売って日本円を買えば1ドルを150円に交換できることから、最初に140円で買っているため10円の儲けになる。


この条件で1万4,000円分の取引をしても利益は1,000円だが、さらに10倍のレバレッジをかけ14万円分の取引をすると利益は1万円になる。14万円の資金を用意することが難しい人でも、1万4,000円の資金が用意できるのであれば、レバレッジをかけることで同様の利益を期待することが可能である。

FXのメリットと魅力

 

レバレッジを効かせることで高い利益が期待できる

FXのレバレッジは、個人投資家であれば最大で25倍まで効かせることが可能だ。つまり、1万円があればレバレッジを最大まで効かせることで25万円まで運用できる。FXに限らず投資は、投資できる資金が高まるほど資金効率が良くなるため、レバレッジを効かせることで高い利益が期待できる。投資に回せる資金が少ない人でもFXはレバレッジをかけることで利益を高められる魅力がある。

 

相場の状況に関わらず常に利益を出せる可能性がある

FXは2つの通貨ペアを選び、どちらの通貨を買って売るかを選択できる。例えば、米ドルの価格が140円から130円に下がった場合でも、米ドルを売り、日本円を買う取引をしていれば1ドルあたり10円の利益を得られる。この様に外貨を売るポジションを取ることを売りポジションと呼び、反対に外貨を買う取引を買いポジションと呼ぶ。

つまり、2つの通貨の値動きを予測できれば、FXは相場の状況に関わらず常に利益を出せる可能性がある投資である。

 

スワップポイントを利用した長期投資もできる

FXは短期であればポジションを立てたその日に解消する投資手法や、長くても半年程度でポジションを解消する中期を前提にした取引など、短期・中期を想定して取引する人も多い。しかし、スワップポイントを利用した長期投資をする選択肢もある。

通貨にはそれぞれ金利が設定されているため、2通貨の金利を調整する必要がある。金利差調整分となるスワップポイントは、日本のような低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うことで利益が発生する。スワップポイントはポジションを解消しない限り、毎日得られる。FXはスワップポイントの獲得を目的とした長期投資も可能であるため、様々な投資スタイルに対応しやすい。

FXのリスクと危険性

 

レバレッジを効かせるほど損失も大きくなる

FXはレバレッジを効かせるほど利益も大きくなるが、損失も大きくなる点に注意が必要である。取引に慣れるほど高い利益を期待して、レバレッジの倍率や運用する資金が大きくなれば、期待できるリターンが高まる一方で、損失が大きくなるためリスクを伴う。

運用する資金とレバレッジに大きさによっては、短期間で大きな損失が発生する可能性があることから、FXはリスクが高く危険な投資といわれることがある。

相場の状況によっては自由にポジションの解消ができなくなる

FXは相場の状況によっては、自由にポジションの解消ができない可能性がある。FXでは投資家保護のためにロスカットという仕組みがあり、損失が一定の水準に達すると強制的にポジションが解消される。ロスカットはこれ以上の損失の拡大を防ぐ役割があるが、一度はロスカットの基準に達したとして、中期や長期で考えれば予想した値動きに戻ると予想している場合にも強制的に決済されてしまう。相場が大きく混乱する局面で一時的に大きな値動きが発生した場合に自由にポジションが解消できない原因にもなる。

また、相場が荒れる局面ではロスカットの強制決済を含めて、注文を出してもポジションの解消が遅れる危険性もある。通常の注文だけではなく、ロスカットの強制決済であっても、注文が遅れればロスカットの基準以上の損失が発生するリスクもある。

長期投資の魅力よりもリスクが上回る通貨ペアも多い

FXにおけるスワップポイントの定期収入は魅力的だが、メリットよりもポジションを取り続けるリスクが上回るケースも多い。スワップポイントは通貨の金利によって変動するため、高金利通貨の金利が下がれば利益は減少するため安定性に欠ける。

ポジションによっては獲得するスワップポイント以上に損失が発生する可能性もある。FXの長期投資は、特定の通貨ペアにおいて値動きが長期的に一方通行に動く場合を除いてキャピタルゲインの利益は期待しにくい。スワップポイントによるインカムゲインの利益だけを求めると、思うように利益を出せない場合もあるため総合的に判断したい。


FXのやり方・始め方 


FXのサービスを提供している場所を探す 


FXは、FXのサービスを提供しているFX会社などの企業に口座開設することで始められる。株や投資信託を売買できる証券会社がFXも提供している場合もあり、FXを専売とするFX会社も存在する。すでに口座を開設している証券会社でFXを始める場合もFX口座の開設を申し込む必要がある。

口座開設を申し込む 

FX口座を開設する場所が決めてから口座開設を申し込む。初めて利用するFX会社で口座開設を申し込むには、マイナンバーを含めた本人確認書類が必要である。オンラインで本人確認を行うほうが口座開設はスムーズに進みやすい。手続きが完了するとFX会社によって期間は異なるものの、最短で即日に口座開設できる。

取引に必要な保証金を入金する 

FXは保証金を担保に定められた倍率の範囲でレバレッジをかけて取引する投資手法であるため、取引を開始するには口座に保証金を入金する必要がある。入金方法によって、手数料がかかる場合とかからない場合があるため、コストを削減するためにできる限りコストのかからない方法で入金するようにする。

 

通貨ペアを選んで発注を行う 


取引に必要な準備が整ったら、実際にFX会社に発注を行う。取引したい通貨ペアを選び、買い注文(Ask)または売り注文(Bid)を選択する。その上で、自分の要望通りに取引を成立させるために必要な注文方法がFXには複数存在するが、取引が初めての場合は成行注文と指値注文の2種類を理解しておくことを推奨する。

成行注文は、最短で注文を成立させたい場合に使用する。ただし、注文時に提示されたレートで必ずしも取引を成立させられるとは限らない。指値注文は希望したレート以上に有利な条件で取引を成立させる。ただし、取引の成立にかかる時間は遅くなる可能性があり、相場の状況によっては取引が成立しないこともある。

ポジションを解消し決済する 

FXはスワップポイントの獲得を期待して投資する長期を前提とした投資スタイルを取る場合を除いて、短期間でポジションを解消する前提で取引することから、発注を行う時点で決済の基準を含めて考えながら取引することを推奨する。ポジションの解消は発注と同様に成行注文と指値注文が可能。相場が24時間常に変動するFXにおいては、値動きを常に監視し続けることは難しいため、条件を指定して注文する指値注文などの方法が役立つ。

FXを始めるFX会社を選ぶポイント

スプレッドなどの実質的なコストを比較する

FXは取引手数料を無料としているFX会社が多いが、実質的な手数料がスプレッドである。FXに限らず為替をする際には、日本円を外貨に交換する時のレートと外貨を日本円に交換する時のレートは一致していない。

例えば、Bid150.000円に対してAskが150.005円であれば、スプレッドは0.005円となり、瞬間的に売買を同時に成立させた際に発生する0.005円の差額は投資家の手には渡らず、FX会社の利益となるため、実質的な手数料となる。よって、FX会社を選ぶ際にはできる限りスプレッドの狭い会社を選ぶほうが利益を上げやすく取引が有利になるといえる。

 

提供している取引ツール


FXは、短期的に取引を繰り返す投資スタイルで利益を上げることが多いことから、株や投資信託などの他の投資方法と比較しても取引に使用するアプリやツールにこだわる必要がある。注文スピードの差が結果を分けることもあるFXでは、操作しやすくスピーディーに注文できる使用しやすい取引ツールが必須。操作性の悪い取引ツールは、発注遅れやミスを発生させる可能性があるため、自身にとって使いやすいツールを選ぶ必要がある。

市況を読み、価格の予想を立てるために重要なチャート分析ツールも充実した機能が搭載しているものを選びたい。加えて、自身の使いやすいように取引ツールの設定を変更できるカスタマイズ性の高さも意識しておくと、より使いやすい状態で取引ツールを使用できるようになる。

 

FX会社の約定力の高さ


FX会社において、発注した価格で注文を成立させる能力の強弱を約定力と呼ぶことがある。約定力の強いFX会社は取引が成立しやすいため、狙った取引が成立させやすいことから利益を上げやすい。一方で、約定力の弱いFX会社は、注文レートと実際の約定レートに差が生まれるスリッページが広くなる可能性が高くなり、そもそも取引が成立しない場合がある。

実際に取引するまで約定力の強さを判断することは難しいが、FX会社が無料で提供しているデモトレードで実際に取引を行って試すか、注文通りに取引が成立した割合を示す約定率を公開しているFX会社を比較するなどして、約定力の高さを分析することを推奨する。思うように取引が成立しなければ、FXの最終的な利益に大きく影響するため、約定力の分析はアクティブにFXでトレードする人にとって必須とも言えるだろう。


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