マクロスコープ:高市氏、政策実現に意欲 「財政のメルトダウン」警戒の声も
写真は1月19日、首相官邸で記者会見する高市早苗首相。代表撮影。REUTERS
Tamiyuki Kihara
[東京 20日 ロイター] - 高市早苗首相による19日の衆院解散表明を受け、政府内に「財政のメルトダウン」を懸念する声が出ている。高市氏は同日の記者会見で自ら掲げる政策実現への意欲を重ねて強調した。仮に与党勝利となれば「責任ある積極財政」に基づく政策は進めやすくなる。一方で、消費減税の財源論など市場が注視する議論はこれからだ。高市氏の舵取り次第では、政権に対する市場の信任が遠のきかねない。
<「国民の皆様」が35回>
「これまでの経済財政政策を大きく転換する。行き過ぎた緊縮志向、未来への投資不足、この流れを高市内閣で終わらせる」。会見で高市氏はこう強調した。「国民の皆様」との言葉を計35回使い、「(改革や政策転換の道を)一緒に前に進んでいただけるのか、それとも不安定な政治のもとで立ち止まってしまうのか、その選択を主権者である国民の皆様に委ねたい」と支持を呼びかけた。
会見で高市氏は実現を目指す多くの政策に触れた。「責任ある積極財政」の柱である危機管理投資や成長投資の重要性を改めて表明。「国家情報局」や「対日外国投資委員会」の設置を通じたインテリジェンス強化、スパイ防止関連法の制定などを重ねて主張し、「国論を二分するような大胆な政策・改革に挑戦していくためにはどうしても政治の安定、国民の皆様の信任が必要だ」と理解を求めた。
高市氏が会見で首相退陣にまで言及したことで、衆院選で仮に与党が勝利すればこうした政策の推進に大きな追い風となる公算が高い。
<「有権者に響く政策」に注力か>
ただ、同時に政府内には高市氏が再び積極財政に前のめりになることへの危機感が出始めた。選挙戦で有権者に響きやすい政策を優先するあまり、財政の持続可能性が置き去りにされることへの懸念だ。代表的な政策は、高市氏が一度は「封印」したはずの消費減税だ。
高市氏は昨秋の自民党総裁選前、食料品に限った消費税ゼロを掲げていた。だが、党内の幅広い支持を取り付けるため、総裁選では事実上封印した経緯がある。それが日本維新の会との政策合意で息を吹き返し、今回の会見で政権公約として正式に復活した形だ。ただ、肝心の財源論は今後の与野党協議に委ねられている。
ある経済官庁幹部は、高市氏が事前に制度設計や財源について政府内で議論を詰めた形跡がうかがえないとし、「果たして後先のことを考えた上で訴えているのか」と首をかしげる。一時は為替や金利の動向に懸念を深めていた高市氏だが、選挙戦を控え「とにかく有権者に響く政策を並べることに注力している」とした上で、こう危機感をあらわにした。「このままでは財政がメルトダウンを起こす」
高市氏の会見から一夜明けた20日、市場では財政の先行きへの懸念が顕在化。現物市場の新発10年国債は朝から売りが先行し、利回り(長期金利)が一時2.350%と、1999年2月以来の高水準を更新した。
(鬼原民幸 編集:橋本浩)
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