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ハマスとイスラエルの大規模衝突、死者400人以上 米は襲撃非難

2023年10月08日(日)10時53分

 10月7日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが行ったイスラエルへの大規模攻撃で、イスラエル側の死者は200人を超えた。写真は同日テルアビブで、ガザからの攻撃でロケット弾が着弾した現場付近で嘆き悲しむ人々(2023年 ロイター/Itai Ron)

Maayan Lubell Nidal al-Mughrabi Ammar Awad

[エルサレム/ガザ/スデロット 7日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが7日に行ったイスラエルへの大規模攻撃で、イスラエル側の死者は250人を超えた。ガザ地区でもイスラエルによる報復攻撃で230人余りが死亡した。

イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスが残酷で邪悪な戦争を仕掛けた」として、強力な報復措置を取ると表明。ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏は、「パレスチナの人々はこの75年、難民キャンプ暮らしを強いられている」と述べ、攻撃がヨルダン川西岸とエルサレムにも広がるとの見方を示した。

ガザに近いイスラエル南部のスデロットでは、市民の遺体が道路に横たわっていたほか、車の中で死亡している男女も見られた。

イスラエル軍によると、ガザ近郊で複数の同軍高官がハマスとの戦闘で死亡した。イスラエル南部では8日未明もイスラエル部隊とハマス戦闘員との衝突が続いている。

イスラエル首相府は、ハマスやイスラム勢力側の軍事力や統治能力を破壊するため、電力や燃料輸送などの停止やガザへの物資輸送封鎖などの対応を同国の安全保障内閣が承認したと表明した。 

ガザ地区では7日、イスラエルの報復攻撃を受けた建物から黒い煙と炎が空を染めた。保健省は232人が死亡し、少なくとも1700人が負傷したと発表した。

米国など西側諸国はパレスチナによる攻撃を非難し、イスラエルへの支援を表明。バイデン米大統領は、イスラエルには自国を防衛する権利があると述べた上で、「イスラエルに敵対するいかなる集団も、この攻撃に乗じて有利な立場に立とうとすべきでない。世界が見ている」として、イランなどをけん制した。

バイデン政権高官は記者団に対し、危機がガザ周辺から拡大することがないよう各国政府と協力していると述べた。

一方、イランや同国が支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは、ハマスのイスラエル攻撃を称賛した。

ハマスは、イスラエルの空爆で集合住宅100棟以上が倒壊したことへの報復として、7日夜にテルアビブに向けて150発のロケット攻撃を新たに行ったと明らかにした。

ハマス幹部は、高官を含む多数のイスラエル人を拘束しているとアルジャジーラに語り、イスラエルの刑務所に捕らえられている全てのパレスチナ人の解放に十分な捕虜がいると語った。

イスラエル軍もガザでのイスラエル人拘束を確認し、軍報道官によると、最大数十万人の予備兵動員が可能で、ヒズボラとの北部での戦争にも備えていると述べた。

ハマスは今回の攻撃について、イスラエルがヨルダン川西岸地区やエルサレムのパレスチナ人、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人への攻撃をエスカレートさせていることが原因だと説明した。

2007年にハマスが掌握して以来、ガザではイスラエルとの衝突が繰り返されてきたが、イスラエル領内へのこれほど大規模な襲撃はインティファーダ(抵抗運動)最盛期にも見られなかった。

イスラエル側は今回のハマスの攻撃を事前に察知できていなかったとみられ、同国始まって以来の諜報体制の失敗だと指摘する声が出ている。

*情報を追加しました。

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