ニュース速報

ワールド

南アのデクラーク元大統領死去、アパルトヘイト廃止で平和賞

2021年11月12日(金)09時54分

 11月11日、南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃に大きな役割を果たし、ノーベル平和賞を受賞したフレデリク・デクラーク元大統領が、がんのため死去した。85歳だった。写真はワルシャワで2013年10月撮影(2021年 ロイター/Kacper Pempel)

[ヨハネスブルク 11日 ロイター] - 南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃に大きな役割を果たし、ノーベル平和賞を受賞したフレデリク・デクラーク元大統領が11日、がんのため死去した。85歳だった。生前に残した動画メッセージが公開され、その中で、数十年にわたるアパルトヘイト下での白人以外の人々に対する罪をあらためて謝罪した。

デクラーク氏は、1948年から91年にかけて行われた南アのアパルトヘイト政策についてこれまで何度も後悔の念を示してきたが、動画メッセージで「アパルトヘイトが南アフリカの黒人や褐色人種、インド系の人々に与えた痛み、傷、侮辱、損害について、わたしは無条件で謝罪する」と語った。

デクラーク氏は1972年に議員としてのキャリアをスタートし、1989年に大統領に就任。翌年には、27年間にわたって拘束されていた反アパルトヘイト闘争の黒人指導者ネルソン・マンデラ氏を釈放した。

アパルトヘイト撤廃で果たした役割を評価され、1993年にはマンデラ氏と共にノーベル平和賞を受賞した。翌年には、南アフリカ初の全人種が参加した普通選挙でマンデラ氏が大統領に就任すると、副大統領を務めた。

がんとの闘いの末、11日朝にケープタウンの自宅で亡くなった。動画はその数時間後、同氏の財団により公開された。

デクラーク氏は「最後のメッセージとしてお伝えしたことがある。80年代初頭からわたしの考えは全く変わった。まるで改心したかのようだった」と述べ、「わたしは心の中で、アパルトヘイトは間違っていると悟った。われわれは道徳的に正当化できない場所に到達したのだと悟った」と述べた。

動画がいつ撮影されたのかは明らかではない。

デクラーク氏の死去を受けてラマポーザ大統領は、南アフリカの民主化に向けて重要な役割を果たしたと述べ「政党の禁止を撤廃し、政治犯を釈放し、解放運動との交渉を開始するという勇気ある決断を下した」として功績を称えた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

欧州、ウクライナ和平巡る協議継続 15日にベルリン

ビジネス

ECB、成長見通し引き上げの可能性 貿易摩擦に耐性

ワールド

英独仏首脳がトランプ氏と電話会談、ウクライナ和平案

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き 「経済は米関税にも耐性示
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲う「最強クラス」サイクロン、被害の実態とは?
  • 4
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 5
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中