ニュース速報

ワールド

アフガン空港、死者が出る混乱 バイデン氏は撤退の正当性主張

2021年08月17日(火)08時39分

 アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが15日に首都カブールの大統領府を掌握したことを受け、16日には国外脱出を図る人々が空港に殺到、米国は混乱解消に向けカブールから退避する航空機の運航を停止した。カブールの空港で16日撮影(2021年 ロイター)

[カブール 16日 ロイター] - アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが15日に首都カブールの大統領府を掌握したことを受け、16日には国外脱出を図る人々が空港に殺到、米国は混乱解消に向けカブールから退避する航空機の運航を停止した。米軍撤退を巡り、バイデン米大統領への批判が強まっている。

アフガンの民間放送局トロニュースの映像では、国外に逃れようとカブールの空港に押し寄せた人々が、滑走路をゆっくりと移動する米軍輸送機にしがみつく様子などが確認できる。

米当局者によると、米国の外交官や大使館職員を退避させる軍用機に人々が無理に乗り込もうとするのを阻止するため、米軍が空に向けて発砲したという。

混乱の中、5人が死亡したという情報があり、カブールから退避する航空機の運航が停止された。目撃者は死亡した原因が発砲によるものか、将棋倒しによるものかは不明としている。米政府当局者はロイターに対し、カブールの空港を警備する米軍部隊が過去24時間に、武装した襲撃者2人を殺害したと明らかにした。

米国防総省の報道官は、米兵士1人が負傷したとの情報があると述べた。

バイデン米大統領は16日、混乱を受けて批判が強まる中、自身の決定の正当性を訴え、米軍にアフガンの内戦で延々と戦いを続けさせるか、トランプ前大統領が交渉した撤退の合意を実行するか選択しなければならなかったと主張。

国外に脱出したアフガン政府指導部のほか、タリバンと積極的に戦わなかった同国軍を非難した。

グテレス国連事務総長は、安全保障理事会に対し「アフガニスタンにおける世界的なテロの脅威を抑制するために全ての手段を用いる」よう呼び掛けた。同国で基本的人権が尊重されるよう確実にする必要があるとも強調した。

国連安保理は、アフガンにおける新政権樹立に向けた協議を求めるとともに、戦争や虐待の終結を呼び掛けた。

ウズベキスタン検察当局は、今週末に数百人のアフガン兵士が軍用機22機とヘリコプター24機で避難してきたと発表した。

ロシア外務省は、ラブロフ外相がブリンケン米国務長官とアフガン情勢を巡り電話会談し、中国やパキスタン、国連との協議を継続する方針で合意したと明らかにした。

タリバンは、女性の権利を尊重し、外国人とアフガン人の両方を保護すると約束するなど、より穏健なイメージを与えようとしているが、多くのアフガン人は、タリバンが過去の厳しい慣習に戻るのではないかと恐れている。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀、28年にROE13%超目標 中期経営計画

ビジネス

米建設支出、8月は前月比0.2%増 7月から予想外

ビジネス

カナダCPI、10月は前年比+2.2%に鈍化 ガソ

ワールド

EU、ウクライナ支援で3案提示 欧州委員長「組み合
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中