ニュース速報

ワールド

IMF、21年の世界成長率5.5%に上げ 「異例の不確実性」続く

2021年01月27日(水)04時31分

国際通貨基金(IMF)は26日、2021年の世界経済見通しをプラス5.5%とし、昨年10月時点の前回見通しから0.3%上方修正した。ワシントンで2016年10月撮影(2021年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 26日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は26日、2021年の世界経済見通しをプラス5.5%とし、昨年10月時点の前回見通しから0.3%上方修正した。新型コロナウイルスワクチン普及によって下期にかけて回復に弾みがつき、日米などによる景気支援策が成長押し上げに寄与するとの認識を示した。

20年の世界経済見通しはマイナス3.5%とし、前回予想から0.9%引き上げ。下期に景気の勢いが予想以上に強まったとした。

IMFは、世界で複数の新型コロナワクチンが承認され、一部の国で昨年12月に接種が始まったことで、パンデミック(世界的大流行)終息への期待が高まったと指摘。同時に、世界経済は引き続き「異例の不確実性」にさらされていると警告。変異種などがリスクを及ぼし、世界経済活動はコロナ禍前の予測を大幅に下回る水準にとどまるとの見通しを示した。

チーフエコノミストのギタ・ゴピナート氏は、世界保健機関(WHO)が主導するコロナワクチンの世界的な公平分配を目的とした枠組み「COVAXファシリティー」への資金提供をバイデン米政権が決定したことは、コロナ感染を食い止めるための「非常に大きな一歩」であると評価した。

その上で「ウイルスの変異種が出たきたことを考えると、これは今すぐ消えてなくなる問題ではないため、さらに多くの取り組みが必要になる。今後のことは、変異種とウイルスの攻防に加え、どれだけ政策で下支えできるかにかかっている」と述べた。

21年の米経済見通しはプラス5.1%とし、前回見通しから2%ポイント上方修正。昨年下期の好調な勢いが継続する見通しのほか、昨年12月に承認された追加経済対策による恩恵があると指摘した。20年はマイナス3.4%、22年の見通しはプラス2.5%。

ゴピナート氏は、バイデン米政権が提案する1兆9000億ドルの新型コロナウイルス追加経済対策について、国内では向こう3年間で5%の生産押し上げ効果が期待できるという見方を示し、経済対策が実現すれば見通しはさらに改善される公算が大きいとした。

また、先進国は回復のスピードが増しており、資源の少ない国に対し、国際社会が債務再編の可能性を含めて支援を行うことが重要だと強調した。

日本については、20年はマイナス5.1%となった後、今年はプラス3.1%に回復すると予想した。

中国は21年がプラス8.1%、22年がプラス5.6%と予想。前回見通しはそれぞれ同8.2%、5.8%だった。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 9
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中