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トランプ米大統領、コロナ対策巡り民主を非難 協議の行方不透明に

2020年10月22日(木)11時13分

10月21日、トランプ米大統領(写真)は、民主党のペロシ下院議長やシューマー上院院内総務は「刺激策を巡り米労働者や米国にとって正しいことをする意思」があるとは思わないと述べた。メリーランド州の軍基地で撮影(2020年 ロイター/Tom Brenner)

[ワシントン 21日 ロイター] - トランプ米大統領は21日、追加の新型コロナウイルス経済対策を巡り、民主党には妥協案をまとめる意思がないと非難した。これより先には一定の協議進展も報じられていたが、大統領の発言を受けて見通しは不透明となった。

トランプ氏は、民主党のペロシ下院議長やシューマー上院院内総務に「刺激策を巡り米労働者や米国にとって正しいことをする意思」があるとは思わないとツイートした。

これを受けて11月3日の大統領・議会選挙後まで協議が中断されるのか、それとも引き続き話し合いが行われるのかは明らかでない。

トランプ氏のツイートの前、ペロシ議長の副補佐官を務めるドリュー・ハミル氏は、ペロシ氏とムニューシン財務長官が48分間協議したことを明らかにし、「法案の起草に近づいた」とツイートしていた。

民主党は約2兆ドル規模の追加対策を求めているが、上院共和党議員の間では大規模な法案に根強い反対がある。

共和党内では、ペロシ氏が実際に選挙前の合意を望んでいるのか懐疑的な見方もある。大統領選で勝利し、議会でも議席を増やすことができれば交渉で優位に立てるとの思惑から、選挙後に合意を持ち越そうとしているのではないかとみているためだ。

ペロシ氏はこの日、MSNBCに対し、11月3日の大統領選前の議会通過を望んでおり、「私は楽観的だ」と強調しつつも、共和党のマコネル上院院内総務が議会採決を選挙後に実施する考えであることに言及した。[nL4N2HC47Z]

共和党側近によると、マコネル氏はトランプ大統領が連邦最高裁判所判事に指名したエイミー・バレット氏の承認手続きに専念するため、選挙前に大規模な追加経済対策法案を審議することを望んでいないという。

メドウズ大統領首席補佐官は共和党上院議員らとの昼食後、FOXニュースに対し、ホワイトハウスが現在、1兆9000億ドル規模の対策を検討していると明かした上で、議員らが規模だけでなく対策の中身も懸念していると述べた。また、選挙後に合意の可能性が高まるとは思わないと語った。[nL4N2HC47Z]

共和党議員からも、選挙後には支援策成立がより難しくなるかもしれないという声が出ており、ブラント上院議員は「今年やるとしたら、今しかない」と述べた。

モンタナ州で再選をかけて接戦に臨むデーンズ上院議員は、民主党が提案する州・地方政府向け支援が主要な対立点だとし、財政に問題を抱える一部の州を他州が「救済」する案には反対だと強調した。

上院共和党は的を絞った小規模な法案を提示しているが、民主党は包括的な対策での合意が射程に入る中、的を絞った法案に賛同する用意はないもようだ。

上院ではこの日、5000億ドル規模の共和党案が手続き上の採決にかけられたが、民主党の反対で否決された。

*内容を追加しました。

ロイター
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