ニュース速報

ワールド

米、ファーウェイ競合の5G機器購入するブラジル企業に融資提供へ

2020年10月21日(水)11時01分

 米政府は20日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の競合企業から次世代通信規格「5G」の通信機器を購入するブラジル通信会社に対し、購入資金を融通する方針を明らかにした。パリで昨年5月撮影(2020年 ロイター/Charles Platiau)

[ブラジリア/ワシントン 20日 ロイター] - 米政府は20日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の競合企業から次世代通信規格「5G」の通信機器を購入するブラジル通信会社に対し、購入資金を融通する方針を明らかにした。ブラジルの5G市場からファーウェイを排除する取り組みを強めた格好だ。

米国家安全保障会議(NSC)、米国際開発金融公社(DFC)、米国輸出入銀行の関係者が、訪問先のブラジリアで記者団に述べた。

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)率いる米代表団は、5G通信など協力分野を特定した輸出入銀行の融資合意署名に立ち会った。オブライエン氏はこれに先立ち、ブラジルのボルソナロ大統領と会談した。

一方ワシントンではこの日、米政府高官がブラジルに対し、中国がファーウェイの5G製品供給を通して影響力を拡大させようとしていないか注意深く監視するよう呼び掛けた。

ライトハイザー通商代表部(USTR)代表は全米商工会議所が主催したイベントで、前日に合意したブラジルとの通商協定で、鉄鋼やエタノールなどを巡る一段の交渉に道が開けたと指摘。ただ「明らかに中国要素が絡んでいる」とし、「中国はブラジルで大きな動きを見せ、最大の貿易相手国になった。これについて米国は懸念している」と述べた。

カドロー国家経済会議(NEC)委員長は、ボルソナロ大統領に中国の投資のほか、5G通信網技術を含むハイテク技術を監視するよう呼び掛けたことを明らかにし、「米国は対応策を取っている。ブラジルも米国と共に歩むことを強く望んでいる」と述べた。

米国のチャップマン駐ブラジル大使は、両国が2国間の貿易規模を現在の約1000億ドルから向こう5年間で倍増させることを目指していると表明。「戦略レベルの」軍事協力について協議しているほか、ハイテク分野の交流促進を検討していると述べた。

在ブラジルの中国大使館はツイッターで、通信分野の「独占」を狙っているとして米国を批判した上で、大半の国は独立性を維持し、5Gについて独自に決定するだろうとの見方を示した。

ある米政府関係筋によると、安全保障を巡る懸念の高まりから、ファーウェイを巡るブラジルの見解は明らかに変化しているという。ただ、最終決定はまだ発表されていない。

ブラジルは来年、5G周波数帯の入札を予定している。ブラジル国内で展開する多くの通信会社はすでにファーウェイ製品を購入しており、他社と比べて値段が安いことから今後もファーウェイ製品を使用することを望んでいる。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦案に対するハマスの回答、イスラエルは精査し

ワールド

エア・カナダと客室乗務員が暫定合意、 スト終結で運

ワールド

AIで恒久的失業、米国民7割が懸念=ロイター/イプ

ビジネス

マクロスコープ:インテル出資で孫氏「逆張りの賭け」
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 10
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中