ニュース速報

ワールド

スイス中銀、超緩和政策維持 経済予測は上方修正

2020年09月24日(木)22時46分

[チューリヒ 24日 ロイター] - スイス国立銀行(中銀)は24日、超緩和的な金融政策を維持し、スイスフラン上昇抑制に向けたマイナス金利および外為市場への介入という2本立てアプローチにも変更を加えなかった。

政策金利と中銀預金金利をマイナス0.75%に据え置いた。ロイター調査ではエコノミスト全員が据え置きを予想していた。

中銀は新型コロナウイルスの流行が経済動向に及ぼす「強力な影響」を和らげるため、金融緩和政策を維持すると表明。ただ、新型コロナの影響は当初懸念されていたほどではないと指摘した。

中銀によると、2021年のインフレ率はプラスに転じ、0.1%になる見通し。2022年のインフレ率の予想は0.2%。

2020年の国内総生産(GDP)予測は5%減に上方修正した。6月時点の予測は6%減だった。

中銀は、経済予測の修正について、上半期の国内経済が当初懸念されていたほど大きく低迷しなかったと説明。世界経済が第3・四半期に力強く回復するとの見通しも示した。

中銀はスイスフランが依然として「高く評価されている」と指摘。フラン高を抑制するため、さらに強力に為替市場に介入する用意があると表明した。

ジョルダン総裁は記者団に対し、「度重なる後退を引き起こす多くのリスクがある。例えば、新型コロナ感染第2波が発生し、ロックダウン(都市封鎖)につながり、状況によっては経済回復の妨げになりかねない」と指摘。「政治的リスクもある。米国の大統領選挙が間近に迫っているほか、大きな不確実性を伴う英国の欧州連合(EU)離脱や米中間の貿易摩擦もある」と述べた。

その上で、中銀が拡張的なアプローチを手放す時期ではないと言及。20年の成長率予想はやや上方修正されたが、「見通しは基本的に変わっておらず、状況は依然深刻だ」とし、「スイスのリセッション(景気後退)は1970年代半ば以降で最悪で、失業者が急増しているほか、経済を巡る大きな不確実性がある。そのため、われわれは拡張的な金融政策を継続しなければならない」と語った。

インフレ率は0─2%の目標レンジ下限にあるが、ジョルダン総裁は中銀が金融政策の枠組みを見直すことはないとした。

このほか、中銀は公開市場操作に関する追加データを提供し、為替介入額の公表回数を増やすと発表した。

ING銀行のエコノミスト、エコノミスト、シャーロット・ド・モンペリエ氏は、今回の発表について、中銀の外貨購入の影響を強化する試みだろうとした上で、「同時に、スイスが米当局の為替操作を巡る監視リストに入っている事実と今回の決定が関連していることは否定できず、透明性を高めることで米国の懸念を和らげようとしている」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ

ワールド

ベネズエラ沖で2隻目の石油タンカー拿捕、米が全面封

ワールド

トランプ氏関連資料、司法省サイトから削除か エプス
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中