ニュース速報

ワールド

温室効果ガス、実質ゼロには年1ー2兆ドルの追加投資必要=報告書

2020年09月16日(水)17時57分

 9月16日、世界の企業・金融機関で構成する「エネルギー移行委員会」は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするためには、追加で毎年1ー2兆ドルの投資が必要になるとの報告書をまとめた。写真はカイロで2019年3月撮影(2020年 ロイター/Amr Abdallah Dalsh)

[ロンドン 16日 ロイター] - 世界の企業・金融機関で構成する「エネルギー移行委員会(ETC)」は16日、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするためには、追加で毎年1ー2兆ドルの投資が必要になるとの報告書をまとめた。

これは世界の域内総生産(GDP)の1-1.5%に相当する。

地球温暖化を今世紀に摂氏1.5度に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする必要があり、これを達成できれば、先進国・途上国の2050年の生活水準の低下は世界のGDPの0.5%未満になるという。

ETCはエネルギー会社、メーカー、金融機関など40社で構成。アルセロールミタル、HSBC[HSBCUK.UL]、BP、シェル、エルステッド、バンク・オブ・アメリカなどが参加している。

ETCは2050年までのカーボンフリー経済の実現を目指している。

報告書によると、エネルギー効率の劇的な改善が必要になると指摘。風力・ソーラー発電容量の年間増強ペースを2019年の5-6倍にする必要があるほか、世界の年間電力供給量を4-5倍の9万ー11万5000テラワット時にする必要があるという。

また、ビル・輸送・工業分野で電化を進める必要があり、電化が不可能な場合は水素を利用するべきだとしている。その他のエネルギーを利用する場合は、二酸化炭素の回収・貯留や持続可能なバイオエネルギーを通じて、脱炭素化を進めることが必要になるという。

ETCのアデア・ターナー共同議長は「ゼロ炭素経済が技術的・経済的に実現可能であることは間違いない。2050年までに実現する必要がある。継続される排出分を相殺する『オフセット』を恒久的かつ大規模に利用するのではなく、本当にゼロにする必要がある」と述べた。

中国には、2050年までに豊かで高度なゼロ炭素経済を実現するリソースと技術があるという。すべての途上国も、遅くとも2060年までに実質ゼロを実現することが可能だが、民間のグリーン投資家を誘致する開発投資が必要になるという。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中