ニュース速報

ワールド

新型ウイルスは変異と中国当局、死者9人に 各国が検査強化

2020年01月22日(水)14時58分

中国国内における新型コロナウイルスによる肺炎の死者は21日時点で9人、感染者は13省で計440人となった。中国の衛生当局者はウイルスが変異しているとの見方を示しており、感染拡大の食い止めは難しくなりつつある。写真は1月21日、北京で撮影(2020年 ロイター/Tingshu Wang)

[北京/上海/香港 22日 ロイター] - 中国国内で新型コロナウイルスによる肺炎の死者は21日時点で9人、感染者は13省で計440人となった。中国の衛生当局者はウイルスが変異しているとの見方を示しており、感染拡大の食い止めは難しくなりつつある。

国家衛生健康委員会は22日、記者会見を開き、呼吸による人から人への感染の証拠が確認されたことも明らかにした。湖北省では人が大勢集まる場所に行かないように当局が呼び掛けるなど、感染拡大に歯止めをかけるための対策が相次いで打ち出されている。

会見した同委員会の李斌副主任は、感染者と濃密な接触をしたケースが新たに2197人確認されたとし、「呼吸器感染」の証拠があると語った。

また、中国の疾病対策予防コントロールセンターの高福主任は会見で、ウイルスは野生生物を違法に取引する市場から発生したと説明。適応しながら変異しているとした上で、衛生当局が拡大を封じ込める努力をしていると強調した。

世界保健機関(WHO)は22日に緊急委員会の会合を開催し、新型コロナウイルスによる肺炎が「国際的な公衆衛生上の緊急事態」に当たるかどうかを検討する。

年末に湖北省武漢市で発生した新型肺炎は、北京や上海など国内の他の都市にも感染が広がり、国外ではこれまでに米国、タイ、韓国、日本と台湾で感染者が報告されている。22日にはマカオで初めての感染が確認されたほか、タイで4例目の感染が報告された。マカオの感染者は52歳の女性で武漢市からの旅行者。タイの新たな感染者は73歳のタイ人女性で、新年の休暇中に武漢市に旅行していたという。

春節(旧正月)の大型連休で大規模な人の移動が見込まれるなか、中国政府は国民がパニックに陥ることを防ぐため、感染者の数などを毎日発表している。

同委員会は、湖北省では多くの人々が集まることをなるべく避けるよう呼び掛けているとしたほか、中国全土でも大勢の人が集まる場所を避けるよう求めた。中国はWHOとの連携を強化すると李副主任は述べた。

2002━03年に世界中に感染が拡大し、800人近い死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)の再来への懸念で世界の市場は動揺、株式市場では航空会社や高級ブランド品メーカーの株が売られている。人民元も急落した。

WHOは21日、新型肺炎は今後数日間に、中国国内でも世界でもさらに感染が拡大する可能性が高いと警告した。

世界各国の空港が中国からの渡航者に対する検査を強化しており、オーストラリアに続いて台湾も武漢市への旅行を避けるよう警告を発した。

台湾の蔡英文総統はフェイスブックで「必要がない場合はこの地域を訪れないよう呼び掛けたい」としたうえで、武漢市からのツアー客に対し、当面は台湾に来ないよう命じた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「米国の和平案推し進める用意」、 欧

ビジネス

米CB消費者信頼感、11月は88.7に低下 雇用や

ワールド

ウクライナ首都に無人機・ミサイル攻撃、7人死亡 エ

ビジネス

米ベスト・バイ、通期予想を上方修正 年末商戦堅調で
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中