ニュース速報

ワールド

イラン大統領、米抜きの核合意堅持へ 目的達成が条件

2018年05月09日(水)08時23分

 5月8日、イランのロウハニ大統領は、米国の離脱に関わらず、西側諸国などと2015年に結んだ核合意を堅持すると表明した。写真はハイデラバードで2月撮影(2018年 ロイター/Danish Siddiqui)

[アンカラ 8日 ロイター] - イランのロウハニ大統領は8日、米国の離脱に関わらず、西側諸国などと2015年に結んだ核合意を堅持すると表明した。

ロウハニ大統領はテレビ演説で「米国以外の当事国と合意目標を達成できるのであれば、核合意を堅持する。米国は離脱によって、国際協定へのコミットメントを正式に弱体化させた」と語った。

欧州の当事国である英仏独や中国、ロシアと数週間中に交渉を開始するよう外務省に命じたことを明らかにした。

ロウハニ大統領はイラン国民が米離脱の影響を受けることはないと強調。「イラン経済の発展は今後も続く。国民が懸念する必要はまったくない」と語った。

また、米国抜きの核合意に残留してもイランの国益が守られないのであれば「無制限で産業レベル」のウラン濃縮活動を再開する用意があるとも述べた。「今後はイランの国益がすべての判断基準になる」とした。

核合意はイランが濃度20%の濃縮ウランの生産を止め、貯蔵していた濃縮ウランの大半を放棄するかわりに、欧米などが科していた経済制裁を解除する内容となっている。

ザリフ外相はツイッターに「米国の度重なる違反と核合意からの違法な離脱を受け、わたしは大統領の指示により、他の当事国がイランが同合意から十分な恩恵を得ることを担保するかどうかを見極める外交的取り組みを主導する。この結果がわれわれの対応を決定付けることになる」と投稿した。

イランの最高指導者ハメネイ師はこれまで、米国が離脱した場合はイランも核合意を「破棄する」と述べている。

イランの当局者らはロイターに対し、トランプ大統領の離脱決定はイランの複雑な権力構造内部における政治闘争が再燃するきっかけになり得ると指摘。穏健派ロウハニ師による欧米との緊張緩和に向けた政策に反発してきた強硬派を有利にさせる可能性がある。

一方、米国と同盟関係にあり、イランと中東の覇権を争っているサウジアラビアとイスラエルは米国のイラン核合意離脱に歓迎の意を表した。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米10月求人件数、1.2万件増 経済の不透明感から

ワールド

スイス政府、米関税引き下げを誤公表 政府ウェブサイ

ビジネス

EXCLUSIVE-ECB、銀行資本要件の簡素化提

ワールド

米雇用統計とCPI、予定通り1月9日・13日発表へ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中