ニュース速報

ワールド

米朝、危機解決への連絡手段限られる 専門家は不測事態の恐れ指摘

2017年08月10日(木)10時43分

 8月9日、米国と北朝鮮の緊張が高まるなか、専門家は両国間に危機拡大を回避するためのホットラインが整備されていないことについて、一方の行動について他方が誤った発言あるいは解釈を行ったり、偶発事故が発生した場合に、全面衝突など不測の事態を招きかねないと警告する。写真はピョンヤンで4月撮影(2017年 ロイター/Damir Sagolj)

[ワシントン 9日 ロイター] - 米国と北朝鮮の緊張が高まるなか、専門家は両国間に危機拡大を回避するためのホットラインが整備されていないことについて、一方の行動について他方が誤った発言あるいは解釈を行ったり、偶発事故が発生した場合に、全面衝突など不測の事態を招きかねないと警告する。

米国とロシアは冷戦中から長い時間かけて首脳間ホットラインや衛星電話回線を整備するとともに、相互に偵察飛行を認める条約も締結している。一方、米朝には国交がないほか、このような安全網も存在しない。

ここ数日間で米朝間の緊張は著しく高まっており、トランプ米大統領は、北朝鮮がこれ以上米国を脅かせば「世界がかつて見たことのないような炎と怒りに直面することになる」として北朝鮮をけん制。これに対し北朝鮮は、米領グアムに向けて中距離弾道ミサイルを発射する計画を検討していると表明している。

ただ、専門家などによると、双方が緊張緩和に向けた提案を行う手段は限られている。

オバマ前米政権で核不拡散担当の特別補佐官を務めたジョン・ウォルフスタール氏は「われわれは臨時的でアナログな北朝鮮との連絡手段があるが、危機時の緊張下でも有効と証明されたものはない」と説明。

米朝は通常、双方の国連代表部や北京大使館、北朝鮮と韓国の軍事境界線がある板門店での軍当局による会談を通じて接触を維持している。このほか、北朝鮮に近い中国や平壌駐在のスウェーデン大使館を介して北朝鮮にメッセージを送ることもある。

ゲーリー・サモア元米大統領補佐官によると、韓国と北朝鮮との間にはホットラインが存在していたが、金正恩朝鮮労働党委員長が2013年に遮断し、再開を拒否しているという。

軍縮を訴えるプラウシェアズ・ファンドの代表、ジョセフ・シリンシオーネ氏は、トランプ大統領が政府方針の発表にツイッターを多用していることに触れ、「ツイートや公式発言でこの危機に対応はできない」と強調した。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=まちまち、ダウ最高値更新 ハイテク株

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで一時155円台、9カ月ぶ

ワールド

米国債入札を段階的に調整、安定維持図る=財務長官

ワールド

中国、フェンタニル前駆体の阻止巡り合意=米FBI長
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 3
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中