ニュース速報

ビジネス

景気判断、8地域で据え置き サービス消費の回復に期待も=日銀

2022年10月06日(木)18時08分

 10月6日、日銀は公表した地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域中、中国のみ判断を引き上げる一方、8地域の判断を据え置いた。写真は都内で2014年1月撮影(2022年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 6日 ロイター] - 日銀は6日に公表した地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域中、中国のみ判断を引き上げ、8地域の判断を据え置いた。供給制約の影響が緩和し、新型コロナウイルスの感染抑制と経済活動の両立が進む下で、多くの地域が「緩やかに持ち直している」と判断した。

同日開催された支店長会議では、全国旅行支援や水際対策の緩和により、インバウンド消費を含め、サービス消費の回復に弾みがつくとの期待感が企業の間で高まっているとの報告があった。一方、記者会見した支店長からは、半導体不足の長期化で生産が振るわず、歴史的な円安のメリットを享受できていないとの声も聞かれた。

<物価高の影響、支店長からは両論>

情報開示充実の観点から、日銀は今回から支店長会議での報告や議論の要旨を公表した。それによると、物価上昇の影響を巡って、プライベートブランド商品への需要シフトなど消費者の節約志向を指摘する報告が出た一方で、値上げ後も売り上げが底堅く推移している企業の例も紹介された。

高口博英・大阪支店長(理事)は会見で「企業からはこれまでのところ全体として売り上げの大幅な減少は見られていないという声が聞かれた」と話した。背景には、ペントアップ需要やこれまで蓄積した預貯金があると説明した。ただ、10月以降も幅広い品目で値上げが見込まれていることから、今後の動向を注視していきたいと述べた。

<円安メリット、生産足踏みで「享受しづらい」>

円安の影響について、輸出産業のウエートが大きい東海3県を管轄する名古屋支店の中島健至支店長は「半導体中心に部品の調達が思い通りに行かず、生産活動が足踏みとなっており、円安のメリットを享受しづらい」と述べた。中島支店長は半導体不足について「なかなか解消のめどが明確には立ちづらい状況に変化はない」と語った。

松野知之・札幌支店長は「インバウンドの観光客が戻ってくれば円安メリットが期待されるが、現状はまだインバウンドの観光客の回復は限定的だ」と指摘。今後の海外観光客の回復に期待感を示した。

生産について、さくらリポートでは関東甲信越・中国・四国の3地域で判断を引き上げた。ただ、支店長会議ではスマートフォン・PC向けの半導体などについて、海外需要の下振れを背景に受注が減少しているとの指摘が出ていたという。

支店長会議ではこのほか、賃金について、業績好調な企業や人手不足感の強い企業などで夏季賞与を増額したり、来春の賃上げを検討したりする企業が見られるとの報告が出る半面、原材料高などで収益が厳しく、賃上げには慎重にならざるを得ない企業もあるとの指摘も出た。

(和田崇彦、杉山健太郎 編集:青山敦子)

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中