ニュース速報

ビジネス

トヨタ、性能に支障ない「傷アリ」部品採用 仕入先の効率・収益改善

2021年12月07日(火)18時09分

 12月7日、トヨタ自動車は、消費者の目に留まりにくい箇所や外から見えない部分を中心に車両性能・安全性に影響のない範囲であれば、仕入先から調達した傷などのある部品を採用していると明らかにした。写真は愛知県豊田市の元町工場で2018年5月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

[東京 7日 ロイター] - トヨタ自動車は7日、消費者の目に留まりにくい箇所や外から見えない部分を中心に車両性能・安全性に影響のない範囲であれば、仕入先から調達した傷などのある部品を採用していると明らかにした。部品に関する過剰な品質や仕様を見直し、仕入先の負担を減らす。資材の高騰が続く中、サプライチェーン全体で生産効率を高め、仕入れ先の収益改善にもつなげる。

トヨタが部品に求める品質は高く、検査も厳しいことで知られる。仕入先は部品の機能になんら支障や害がなくても、トヨタの厳格な検査を恐れるあまり、虫眼鏡を使って丁寧に検査したり、わずかな傷や汚れでも不良品とみなして廃却したりしている場合が多く、これまで生産効率や収益性を損じていた。

トヨタは2017年末から仕入先と過剰な品質と性能を適正化する活動を開始。19年からは仕入先各社にトヨタ社員を送り込んで現場の悩みを直接聞き、仕入先と過剰になり過ぎない品質水準の合意形成に取り組んでいる。

同社クルマ開発センターの志賀武文チーフ・プロジェクト・リーダーはこの日のオンライン説明会で「思ったより車(の価格や性能)が高くなってきているというのが活動の発端」と説明。基準を緩和するのは「非常に勇気がいる」としつつ、仕入先の声も聴きながら、「外観は大事にするが、お客様があまり気にされない部位はもう少しグレード、見え方、シビアさを減らしてもいいのではないかという動きを広げている」と話した。

例えば、3列目のシート格納時の固定用フックを手掛ける5次仕入先は、消費者にはまったく見えないフックの裏側でも傷などがあると全て廃却しており、不良品は毎週約5000個にもなっていた。トヨタが品質基準であいまいな表現の指示を出していたことも背景の一因で、適正化活動後はフックの不良率がこれまでの4分の1に減った。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送米GDP、第1四半期+1.6%に鈍化 2年ぶり

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中