ニュース速報

ビジネス

米雇用統計、11月21万人増で予想下回る 失業率は4.2%に改善

2021年12月04日(土)04時05分

米労働省が3日発表した11月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月より21万人増加した。9月撮影(2021年 ロイター/Andrew Kelly)

[ワシントン 3日 ロイター] - 米労働省が3日発表した11月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月より21万人増加した。55万人増を見込んでいた市場予想を大幅に下回り、昨年12月以降で最も低い伸びとなった。小売業や州・地方政府の教育部門での雇用減が響いた。ただ、失業率が1年9カ月ぶりの低水準に改善し、労働市場の急速な引き締まりを示唆した。

企業が賃金を引き上げ、手厚い失業手当が終了し、学校が完全に再開されたにもかかわらず、何百万人もの失業者が労働市場に戻っていないとみられる。予想は、30万6000人増から80万人増まで幅があった。

連邦政府による失業給付が9月上旬に終了して以来、11月は全く反映されていない月として2カ月目となる。10月の雇用者数の増加幅は、当初発表の53万1000人から54万6000人へ上方改定された。雇用者数は2020年2月のピーク時を390万人下回っている。

11月の失業率は4.2%と10月の4.6%から改善し、2020年2月以来の低水準となった。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「失業率の低下が示すように米経済は実質的に過熱状態にある。11月のわずかな雇用増に惑わされてはいけない」と述べた。

ボストン・カレッジのブライアン・ベスーン教授は「失業率は米連邦準備理事会(FRB)による完全失業率の推定値に向かって比較的急速に近づいている」と指摘した。

賃金は引き続き上昇した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は数日前に、12月14─15日に開かれる金融政策決定会合でテーパリング(量的緩和の縮小)の加速を検討すべきだと議会で証言していた。

シティグループのチーフエコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は、今回の雇用統計はFRBが12月の会合でテーパリング加速を決定するのに十分すぎるデータだと指摘。「さらに失業率がおそらく今後数カ月で4.0%を下回ると見込まれることからFRBの最初の利上げは6月またはそれ以前に行われるだろう」と述べた。

業種別では小売業が2万0400人減。州・地方政府の教育部門は1万2600人減となった。政府全体では2万5000人減と4カ月連続で減少した。

レジャー・接客業の雇用は振るわず、2万3000人増にとどまった。前月は17万人増だった。

専門職・企業サービスの雇用者数は9万人増加した。運輸・倉庫業は約5万人増、建設業は3万1000人増加だった。製造業の雇用者数も3万1000人増加した。引き続き、労働力不足が雇用の足かせとなっている。

時間当たり平均賃金は前月比0.3%増、前年同月比4.8%増となった。平均週間労働時間は34.7時間から34.8時間に増加した。

雇用者数の増加が小幅だったため、第3・四半期に減速した経済が第4・四半期により力強く成長することへの期待感が薄れる可能性がある。個人消費や製造業の活動は好調なものの、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が明るい展望にリスクをもたらしている。

オミクロン株の詳細はほとんど分かっていないが、デルタ変異株の影響で第3・四半期の経済成長率が1年超ぶりの低水準に落ち込んだ経験から、雇用やサービス需要が減速する可能性が高い。

9月末時点の求人は1040万件。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による不況で失業した何百万人ものアメリカ人が依然として労働市場に戻っていないが、一部調査では復帰する兆しも見えている。労働参加率は10月の61.6%から11月は61.8%に上昇した。労働力人口は、パンデミック(世界的な大流行)前の水準を240万人下回っている。

エコノミストによると、株式市場や住宅価格の高騰によって多くの米国人の資産が増加し、早期のリタイアを促した。また、家計の貯蓄が大幅に増加し、自営業者も急増している。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FBI、民主6議員に聴取要請 軍に「違法命令」拒否

ビジネス

米HPが3年間で最大6000人削減へ、1株利益見通

ビジネス

米財政赤字、10月は2840億ドルに拡大 関税収入

ビジネス

中国アリババ、7─9月期は増収減益 配送サービス拡
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中