ニュース速報

ビジネス

FRB当局者、テーパリング加速なら一層柔軟な利上げ対応可能

2021年06月22日(火)04時02分

米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は21日、テーパリング(量的緩和の縮小)を早めに進めれば、利上げを巡って一段と柔軟な対応が可能になるという考えを示した(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は21日、テーパリング(量的緩和の縮小)を早めに進めれば、利上げを巡って一段と柔軟な対応が可能になるという考えを示した。

セントルイス地区連銀のブラード総裁は「連邦公開市場委員会(FOMC)に選択肢の幅を持たせることは非常に有効であり、将来の金利政策においてどの程度のシグナルを与えるかを考える上で、テーパリングを巡る議論の一部になる」と表明した。

足元の物価動向は振れが増しており、経済も拡大していることから、テーパリングを行う上で前回の金融危機後に策定した債券購入の枠組みは指針になり得ないと指摘。「現在は金融危機後のような静穏でボラティリティーが低い時ではなく、むしろボラティリティーは高く、様々なことが一度に起こる状況にあり、対応力が問われる」と語った。

その上で、FRBが資産買い入れをどのように調整するかという議論には、住宅ローン担保債(MBS)の買い入れを米国債とは異なるペースで削減するかやその開始時期、ペースの速さなどを決めることが含まれると言及。「今は自動操縦で進めることができる環境ではないと思う。マクロ経済指標は大幅に不安定で、2014年時よりも備えをやや強めテーパリング戦略に調整を加える必要がある」との考えを示した。

また、FRB当局者は金融政策を調整する前に許容可能なインフレ率の程度およびFRB目標値を超える期間を明確にする必要があるとし、「これは健全な議論だ」とした。

こうした中、ダラス地区連銀のカプラン総裁は、FRBの新たな戦略枠組みに債券購入に関する規定はなく、債券購入を「早めに抑える」ことで金利の議論に一層柔軟性を持たせることができるかもしれないと述べた。

FRB当局者らが利上げ時期の見通しを早めたことについては、昨年12月から今年6日にかけて経済見通しが急激に上向いたことに反応したものだと説明した。

昨年12月の時点では、新型コロナウイルスを巡る先行きの動向が依然として不透明だったが、「今年3月に入ると世界的大流行(パンデミック)が収束に向かっていることが明確になり、6月に至って見通しが大幅に上方修正された」と指摘。「金融当局者らは劇的に改善した経済見通しに単純に反応しているということだ」と話した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独消費者信頼感指数、5月は3カ月連続改善 所得見通

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を

ビジネス

英バークレイズ、第1四半期は12%減益 トレーディ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中