ニュース速報

ビジネス

米、新たな貿易協定締結よりも国内投資を優先=イエレン財務長官候補

2021年01月22日(金)08時26分

バイデン米大統領が財務長官に指名したイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長は、新政権が他国と新たな自由貿易協定を締結する前に国内投資に注力することを計画しているとの見解を示した。19日代表撮影(2021年 ロイター)

[ワシントン 21日 ロイター] - バイデン米大統領が財務長官に指名したイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長は、新政権は他国と新たな自由貿易協定を締結よりも国内の労働者やインフラへの投資を優先させるとの見解を示した。

イエレン氏は、19日に上院財政委員会で行われた財務長官への指名承認公聴会後に出された質問に書面で回答した。

バイデン政権が台湾との貿易協定締結を優先する計画かという委員の質問に対し、イエレン氏は「米景気回復がわれわれの最優先課題」と強調し、「バイデン大統領はこれまでに、米労働者や国内インフラへの主要投資が行われる前に新たな自由貿易協定には署名しないと明確にしている」と応じた。

同時に「断固とした貿易課題」の追求を計画しており、「同盟国にアプローチし、関係を再構築するほか、米国の繁栄や労働者を優先させる取り組みを支える貿易協定を模索する」と述べた。

中国については、トランプ前政権の対中通商政策に加え、中国が米中貿易協議の第1段階の合意を履行しているかどうかを精査すると説明。「米政府は対中関税を見直し、同盟国と協議する。この両方をしない限り、対中政策は変更しない」とした。

その上で「中国に対し意義ある圧力をかけるアプローチが必要」とし、バイデン政権は同盟国と連携を強化し、あらゆる手段を使って中国の「脅迫的」な取引慣行の是正に取り組むと述べた。

バイデン大統領の提案する法人税引き上げが、特に対中国において、米企業の競争力を阻害するかどうかの質問には、法人税引き上げは米企業に恩恵となる「大規模投資」とセットで行われると回答。

バイデン大統領が提案する法人税率28%は「数十年間続いた水準を依然大幅に下回る」と指摘した。

イエレン氏はまた、同盟国との協力の下、テロリストの資金調達ネットワークを厳しく取り締まり、いかなる外国投資も厳格に審査すると表明。「そのような協力がうまくいかない場合には、財務省は危険なテロリストや拡散国家を取り締まるよう各国に強く要請し、必要な場合には共謀の実態を公表する用意がある」とした。中国の米制裁違反は認められないとも述べた。

上院財政委員会は米東部時間22日午前10時(1500GMT)に会合を開き、イエレン氏の財務長官指名承認について採決を行う予定で、本会議での採決は22日中もしくは週明けに行われる見通し。

*内容を追加しました

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米東部の高齢者施設で爆発、2人死亡 ガス漏れか

ビジネス

午前の日経平均は続伸も値幅限定、クリスマス休暇で手

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.

ワールド

マクロスコープ:核融合電力、国内で「売買契約」始ま
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中