ニュース速報

ビジネス

米債券投資家、FRBの姿勢見極めへ イールドカーブ傾斜化で

2020年06月07日(日)09時07分

 世界経済が新型コロナウイルス流行の最悪シナリオを回避したとの期待から米国債に売りがかさみ、イールドカーブが3月以来で最もスティープ化した水準となった。米債券投資家はFRBの姿勢を見極めている。写真は3月に撮影(2020年 ロイター/Carlo Allegri)

[ニューヨーク 5日 ロイター] - 世界経済が新型コロナウイルス流行の最悪シナリオを回避したとの期待から米国債に売りがかさみ、イールドカーブが3月以来で最もスティープ(傾斜)化した水準となった。

投資家は連邦準備理事会(FRB)がこうした楽観的な見方に同意するかどうか見極めようとしている。10日まで開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)は4月以来の開催。パウエルFRB議長は4月のFOMC後、国内景気は経済閉鎖の負担を1年以上にわたって感じる可能性があると述べていた。

また、5日に公表された米雇用統計が予想外に好調だったことで国債が売られ、10年債利回りは3月前半以来の高水準となった。

ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略部門責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「過去数週間における債券市場での売りは正当化されそうだ」と語る。

FRBは追加の債券買い入れプログラム、もしくはイールドカーブ・コントロール措置を導入する可能性がある一方、ファンドマネジャーはイールドカーブへの介入を正当化するには利回りが大幅に上昇する必要があるとの見方を示す。それよりむしろ、FRBが新型コロナ危機の最悪局面が去ったとみているヒントを見極めようとしている。

イートン・バンスのグローバルインカム部門共同ディレクター兼ポートフォリオマネジャー、エリック・スタイン氏は「たとえ実体経済がかなり低迷しているとしても、債券発行と市場改善の状況が非常に力強い中、新型コロナショック前の水準までとはいかなくても、市場は機能している」と述べた。

そのため、同氏は景気回復が利回り上昇を支持できるとFRBが信じているサインを求めている。「特に回復を背景とした緩慢な上昇はFRBにとって問題ないだろうが、動きが急激で回復状況を不安定にするようなら懸念理由になる」とした。

オスターワイス・キャピタル・マネジメントの筆頭ポートフォリオマネジャー、エディー・バタル氏は、ニューヨーク市地域といった新型コロナのホットスポットで感染・死亡率が低下していると指摘し、「われわれは新型コロナの最悪の結末を織り込まなくてもよくなった。新型コロナのリスクを巡るセンチメントは一変した」と語る。

その上で同氏は、社債や住宅ローン担保証券(MBS)に買いを入れ、米国債を避けているという。米国債については現在の利回りでは「投資価値は全くない」とした。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは156円前半でほぼ横ばい、日銀早期

ビジネス

中国万科の社債急落、政府支援巡り懸念再燃 上場債売

ワールド

台湾が国防費400億ドル増額へ、33年までに 防衛

ビジネス

インフレ基調指標、10月の刈り込み平均値は前年比2
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中