ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏財務相、財政支出拡大の方向で一致 ドイツが姿勢変化

2020年02月19日(水)04時05分

ユーロ圏財務相らは18日、理事会を開き、域内の景気が悪化した場合にユーロ圏として財政支出を増やす用意があると表明した。写真はルメール仏経済・財務相とショルツ独財務相。ブリュッセルで2018年11月撮影(2020年 ロイター/Eric Vidal)

[ブリュッセル 18日 ロイター] - ユーロ圏財務相らは18日、理事会を開き、域内の景気が悪化した場合にユーロ圏として財政支出を増やす用意があると表明した。慎重ながらも公共投資拡大に向けて動き出す姿勢を初めて示した。

欧州中央銀行(ECB)や低成長の国が投資拡大を繰り返し呼び掛けてきたにもかかわらず、ユーロ圏は長年「おおむね中立的な」財政スタンスを維持してきた。ただ昨年に経済が鈍化したことや、新型コロナウイルスによって新たな景気低迷のリスクが高まったことで、ドイツが財政支出拡大への反対姿勢を転換した。

公表された共同声明では、ドイツに財政支出拡大を強いていないものの、域内の姿勢が変化したことを示唆。欧州連合(EU)の財政規律の見直しにつながり、より緩い内容に改定される可能性もある。

フランスのルメール経済・財務相は、会合に合わせて記者団に対し、全加盟国が財政支出の拡大に合意したと述べ、行き詰まりを打開したとの見方を示した。「大きな進展を遂げた。ユーロ圏の19カ国は数年ぶりに財政刺激が必要との見方を示した」と語った。

欧州委員会のドムブロフスキス副委員長は、昨年の経済減速や2020年以降の軟調な見通しを受けた方針転換だと説明した。

ただ、声明は非常に慎重な姿勢を保っている。十分に資金がある国のみが投資を拡大することを強調しており、財政赤字が大きい国は除外。「安定・成長協定を十分に尊重した上で、下振れリスクが顕在化する場合には、集合体としての支援姿勢強化に向け、財政面での対応に違いを出すべき」とした。

ドイツのショルツ財務相も共同声明に同意。ドイツが来年、財政支出を増やす道を開いた可能性がある。ショルツ氏はこれまでも、景気低迷に対応するため財政支出を増やす用意があると発言している。ただドイツ経済が昨年急減速したにもかかわらず、 EU統計局(ユーロスタット)が先月公表した統計によるとドイツの19年1ー9月期の財政黒字は縮小しながらも高い水準を維持した。

ルメール氏は、より持続可能な経済への移行を促すためにグリーン関連の計画に公共投資をしやすくすべきだと述べた。グリーン投資はすでに、EUの財政規律の下で柔軟性が幾分認められているが、フランスとイタリア、その他の高債務国は裁量の余地を増やしたい意向。ドイツはこれまで、こうした見直しに反対している。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官、来週初訪日 19日に大阪万博訪問

ワールド

ユーロ圏GDP、異常気象で5%減の可能性 ECB幹

ワールド

中国、雇用下支えへ支援策 米との貿易摩擦長期化で対

ビジネス

米ドル、第1・四半期の世界準備通貨の構成比が低下 
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 5
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 6
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 7
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 8
    【クイズ】 現存する「世界最古の教育機関」はどれ?
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    昼寝中のはずが...モニターが映し出した赤ちゃんの「…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 7
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 8
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中