ニュース速報

ビジネス

米FRB、独自のデジタル通貨について検討中=ブレイナード理事

2020年02月06日(木)09時18分

米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事(写真左)は5日、FRB独自のデジタル通貨を発行するコストとメリットも含め、デジタル通貨の決済、規制や保護のあり方などを幅広く検討している、と述べた。写真右はパウエルFRB議長。2019年6月、イリノイ州シカゴで撮影(2020年 ロイターAnn Saphir)

[パロアルト(米カリフォルニア州) 5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は5日、FRB独自のデジタル通貨を発行するコストとメリットも含め、デジタル通貨の決済、規制や保護のあり方などを幅広く検討している、と述べ、FRBのデジタル通貨発行に以前よりも前向きな姿勢を示した。

スタンフォード大学経営大学院での講演原稿の中で、同理事は、「決済システムの転換により、デジタル化はより低いコストでより大きな価値と利便性をもたらす可能性がある」との見方を示している。金利や経済見通しについては触れなかった。

同理事はその上で、「リスクもある」と指摘。フェイスブックのリブラ計画など、民間のデジタル決済・通貨の台頭への懸念を示した。理事は「新たなプレーヤーの一部は金融システムの規制の枠組み外にあり、これらが取り扱う新たな通貨は、違法な金融取引、プライバシー、金融の安定性、金融政策の波及などの面において課題となり得る」と述べた。

世界の中央銀行は、デジタル金融技術とビットコインが使う分散型台帳システムをいかに管理するかを協議している。

ブレイナード理事は、FRBは独自の24時間リアルタイムの決済システムを開発中で、同プログラムに寄せられた200通のコメントレターを精査していると説明。

また、「分散型台帳技術とそれを利用したデジタル通貨について、中央銀行テジタル通貨(CBDC)も含め、調査と実験を行っている」とした。

最近の国際調査によると、世界の数十行の中銀がこのような取り組みを進めており、中国人民銀行は独自のデジタル通貨発行に向けて動いている。

ブレイナード理事は2年ほど前、「FRB発行のデジタル通貨への強い必要性は示されていない」と発言していた。

だがその後、フェイスブックがリブラ計画を発表すると、同理事を含むFRB当局者は、世界人口の約3分の1がアカウントを持つフェイスブックの通貨発行によって様々な問題が生じる可能性があるとの懸念を示していた。

ブレイナード理事は5日の会合で、リブラ計画によってデジタル通貨を巡る議論の緊急性が生まれたと説明。「われわれはCBDCの理解を深めるとともに、他の中銀と協力している」と語った。

同理事は、米国ではデジタル通貨が決済システムをより安全、より簡素にするかどうか、デジタル通貨が銀行の取り付け騒動など、金融の安定性にリスクをもたらす恐れがあるかどうか、を調査する必要があると指摘。このほか、プライバシーや詐欺の防止、デジタル通貨を法定通貨とみなすかどうかも検討課題だという。

理事は、他の主要国と同様に、米国でも公的セクターは民間セクター、学術界と協力し、デジタル決済・通貨の規制のあり方について話し合う必要があると述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

国内債券、1500億円程度積み増し 超長期債を中心

ワールド

自民と維新、最終合意目指しきょう再協議 閣外協力と

ワールド

米連邦裁、予算枯渇し業務縮小と職員解雇 政府閉鎖で

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 5
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 6
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 9
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中