ニュース速報

ビジネス

中国で新型肺炎、対応に動く日本企業 小売りは休業も

2020年01月24日(金)17時49分

 1月24日、中国の武漢市で確認された新型コロナウイルスによる感染の広がりを受けて、現地に進出する日本企業も対応に動き始めている。写真は武漢に営業所のある日本電産のロゴ。都内で2018年7月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 24日 ロイター] - 中国の武漢市で確認された新型コロナウイルスによる感染の広がりを受けて、現地に進出する日本企業も対応に動き始めている。ただ、感染規模はまだ小さいとして、ビジネス継続とのバランスを慎重に見極めようとしている。

武漢に営業所のある日本電産<6594.T>の永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)は23日の決算会見で「新型の病気にかからない防御策を徹底することが大事。それはきちっとやっている」と説明した。全従業員にマスク配布するなどの取り組みを進め、ビジネス上は「何も変化のない対応をしている」という。

製造業では、春節シーズンと重なったことでもともと休業を予定していた企業が目立つ。市内に3つの工場があるホンダ<7267.T>。日本人を含む従業員約1万2600人が勤務するが、春節シーズンは23日─2月2日まで稼働停止している。従業員にはマスクの着用と人混みへの外出を控えるよう要請しているという。武漢市への出張は22日夕から原則禁止にした。

武漢に拠点のある日産自動車<7201.T>は23─2月4日が春節の休業。出張の制限はしていないが、手洗いやうがい、マスク着用などを促している。大型空調機などの工場と事業所があるダイキン工業<6367.T>も春節の休業。注意喚起はするが、武漢などへの渡航制限はしていないという。

小売の現場では、公共交通機関が麻痺する中で営業が制約を受けている。ファーストリテイリング<9983.T>は市内17店舗のユニクロを一時休業している。市内に3つのショッピングモールがあるイオン<8267.T>では、食品や衣料品を扱う総合スーパー(GMS)はマスク着用で営業しているが、モールでは24─26日の休業を決めた。従業員の少ない小規模店が多く、休業する店舗が増えてきたため。

武漢市で大型温泉施設を運営する極楽湯ホールディングス<2340.T>は、23日からの臨時休業を決めた。従業員の通勤に支障があるほか、当局から厳しい予防対策の要請があったことを踏まえる。同社では「春節期間の大型連休に入り、中国各地の店舗で大勢の来客を見込んでいた」としている。

武漢の人口約1100万人に対し、これまでの感染者数は数百人。「割合としては大きくない。まだ大々的な取り組みを検討する段階にない」(現地に事業所のある電機メーカー)との声も聞かれる。一方、鳥インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時の経験を踏まえて事業継続計画を準備している企業もある。

(平田紀之、白木真紀)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中