ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏経済は軟調、ECB緩和策は景気支援の一助=ラガルド総裁

2019年12月03日(火)03時07分

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は2日、ユーロ圏の経済成長は軟調だが、消費は引き続き底堅く推移しているとし、ECBの緩和策はなお景気支援の一助となっているとの認識を示した(2019年 ロイター/FRANCOIS LENOIR)

[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は2日、ユーロ圏の経済成長は軟調だが、消費は引き続き底堅く推移しているとし、ECBの緩和策はなお景気支援の一助となっているとの認識を示した。

ラガルド総裁は欧州議会・経済金融委員会の定例公聴会で「ユーロ圏の経済成長は軟調な状態が続いている」としながらも、「消費は底堅く推移している。労働市場の改善は継続しており、これにより消費者信頼感が下支えされている」と述べた。

その上で、軟調さの背景には世界的な要因があると指摘。世界経済の見通しはなお不透明性が高く、不確実との認識を示した。

また、ECBが9月の理事会でマイナス金利の深掘りや資産買い入れの再開を含む包括的な緩和策を決定したことについて、ECBがマイナス金利政策の副作用に警戒感を持っていることを示しているとも述べた。

このほか、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)については、消費者が日々の生活の中で中銀通貨を直接使用できるようになるとしながらも、CBDCは構造次第ではリスクになり得るとの考えを示した。

フランス出身のラガルド氏は国際通貨基金(IMF)専務理事からECB総裁に転出。公聴会で「ドイツ語を勉強しているが、同時に中央銀行の言語の習得にも努めている」とし、「私が言うことを過度に解釈せず、忍耐強く見守ってほしい」と述べた。

ラガルド氏が総裁として直面しているECBの政策見直しについては、インフレ目標に主眼が置かれると表明。現在2%に近いがこれを超えない水準としている目標がなお有効かどうか討議するほか、シンメトリック(上下に対象的)な物価目標の導入についても検討することを明らかにした。

その上で、物価安定が引き続きECBの最優先事項となるとしながらも、気候変動対策も政策の中心に据える必要があると指摘。ECBの経済分析に気候変動による影響を織り込む必要があるほか、ECBの銀行監督部門は気候変動に関するリスク評価などの情報を収集する必要があるとの考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「イランが制裁解除を打診」

ビジネス

オープンAI、半導体工場建設で米政府の融資保証獲得

ビジネス

午前の日経平均は反落、主力株主導で5万円割れ 好決

ビジネス

仏ルノーがEV版新型「トゥインゴ」を発表、低価格帯
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中