ニュース速報

ビジネス

ドル指数上昇、米中関税撤廃巡る不透明感で安全買い=NY市場

2019年11月09日(土)07時13分

 8日、ニューヨーク外為市場では、ドル指数が3週間ぶりの高水準を付けた。写真は2016年1月撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)

[ニューヨーク 8日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、ドル指数が3週間ぶりの高水準を付けた。米中追加関税撤廃を巡る不透明感が高まる中でリスク選好度が低下し、安全資産とされるドルに買いが入った。同様に安全資産と見なされる円も買われた。

米中は7日、「第1段階」の通商合意の一環として、双方が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に撤廃することで合意。ただ、追加関税の段階的撤廃にはホワイトハウス内外から強い反発の声が出ていることも明らかになった。

この日はトランプ米大統領が対中関税の撤回には合意していないと表明。開始からすでに1年4カ月が経過している米中貿易戦争がいつ終結するのか、疑念が再燃した。

ナットウエスト・マーケッツ(コネチカット州)のG10外為戦略部門責任者、ブライアン・ダインジャーフィールド氏は「関税撤廃を巡る不透明感が根底に存在していることが相場を動かす大きな要因となっている」と指摘。ただ、通商合意に向けた取り組みが続いていることでリスク資産に対する市場心理は当面下支えされるとみられ、「追加関税措置の撤廃に向け何らかの協議が行われていることは歓迎すべきことだ」と述べた。

主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は主にドルの対ユーロでの上昇に押し上げられ、一時は3週間ぶりの水準に上昇。終盤の取引では0.2%高の98.362となっている。

キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のシニア市場エコノミスト、ジョナス・ゴルターマン氏は、通商を巡る緊張が高まっている間はドルは底堅く推移すると予想。「金利差が短期的にドルの大きな押し上げ要因になるとは予想していない」とし、「貿易加重ベースでドルはすでに2000年代初頭以来の高値に近づいているにもかかわらず、通商問題と世界的な景気減速が根強く継続していることが要因となり、ドルは2020年は一段と上昇するだろう」と述べた。

ユーロ/ドルは0.3%安の1.1020ドル。ドル/円は0.1%安の109.17円。

カナダドルは対米ドルで下落。10月の雇用統計で雇用者数が予想に反して減少したことで売られ、終盤の取引で対米ドルで0.4%安の1.3228カナダドルとなった。

ケンブリッジ・グローバルペイメンツの市場ストラテジスト、ドン・カレン氏は、この日の雇用統計を受けカナダ銀行(中央銀行)は向こう数カ月で利下げに踏み切る可能性があるとの見方を示した。

ドル/円 NY終値 109.27/109.30

始値 109.38

高値 109.47

安値 109.09

ユーロ/ドル NY終値 1.1016/1.1020

始値 1.1029

高値 1.1037

安値 1.1017

(表はリフィニティブデータに基づいています)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ財務相、米財務長官との2国間会談「非常にうま

ビジネス

仏LVMH会長「欧州も譲歩必要」、トランプ氏との貿

ビジネス

来年4月以降の国債買入計画、長期的な視点で検討を=

ワールド

NATO、防衛費をGDPの3.5-5%に引き上げへ
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    子育て世帯の年収平均値は、地域によってここまで違う
  • 9
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「自動車の生産台数」が多い…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 9
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 10
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中