ニュース速報

ビジネス

米FRB、「ストレス資本バッファー」の見直し検討=副議長

2018年11月12日(月)09時20分

 11月9日、米連邦準備理事会(FRB)のクオールズ副議長(金融規制担当)は、将来の経済ショックに備えて銀行に確保を義務付ける「ストレス資本バッファー(SCB)」の内容について、あらためて提案する考えを示した。写真はFRB本部ビル。2012年8月にワシントンで撮影(2018年 ロイター/Larry Downing)

[ワシントン 9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクオールズ副議長(金融規制担当)は9日、将来の経済ショックに備えて銀行に確保を義務付ける「ストレス資本バッファー(SCB)」の内容について、あらためて提案する考えを示した。ワシントンで開かれた会合で述べた。

またクオールズ氏は、規制当局が年次のストレステスト(健全性審査)の主要部分を緩和すべきとも指摘した。この改定はFRBによるストレステスト手続き簡素化の一環。金融危機後に導入されたストレステストについて、銀行から大きな負担になるとの声が上がっている。

FRBは今年4月、これまでのストレステストを伝統的な銀行監督業務に合う形に移行させるほか、各銀行の特徴に応じた柔軟な条件を設定する取り組みとしてSCBを提案した。

ただ業界の要請を受け、クオールズ氏は銀行側にとってより簡素になるよう計画の一部について見直す意向を示した。

変更点については現在検討中で、今後の銀行監督体制をより簡素で予測可能な形にするという。

クオールズ氏はストレステストの方法について、複数の大幅な変更案に言及。例えば、銀行が資本計画を策定する前の段階でFRBにどのような評価を受けたかについて、当該銀行が把握できるようにするといった案が含まれた。現在は、銀行はFRBに資本計画を提出後、FRBが計画を承認したか拒否したかを公表される形となっており、銀行側に負荷がかかっていた。

クオールズ氏はこのほか、SCBの一部として提案したレバレッジに関する要件の撤回を検討していることや、現在では銀行が十分な資本準備を積んでいることからストレステストを受けたボラティリティーを低減させるよう取り組んでいるとも述べた。

同氏は現行のストレステストについて、FRBが「質的」理由から銀行の資本計画に反対できる規定を撤廃することに支持を表明。質的審査によってFRBは、銀行の資本水準に問題がなくても経営上の懸念を理由に銀行を不合格とできるなど、判断の余地が大きいことから、銀行側はかねてより、同プロセスが不透明で恣意(しい)的だと批判してきた。

FRBは6月、ストレステスト第ニ弾となる質的審査を含む包括的資本分析(CCAR)でドイツ銀行の米子会社が不合格となったと発表。資本計画の管理に「幅広く重大な不備」があるとの判断を示していた。

銀行側はストレステストの想定シナリオが非現実的なほど厳しくなっており、不必要に資本上の負荷をかけていると不満を訴え始めている。

クオールズ氏は、FRBはストレステストのモデルやシナリオについて銀行側との情報共有を拡大する可能性について検討していると表明。FRBは従来、銀行に多くの情報を与えれば、銀行がリスクを低減することなく合格する方法を見いだすことになるとして、消極的姿勢を示していた。ただ、クオールズ氏は、FRBが詳細な調査を行えばそのような事態は回避できると主張した。

「銀行が結果を操作できるという見方について、私はこれまで一貫してやや懐疑的に感じてきた」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ、6月の英販売台数は前年比12%増=調査

ワールド

豪家計支出、5月は前月比+0.9% 消費回復

ワールド

常に必要な連絡体制を保持し協議進める=参院選中の日

ワールド

中国、太平洋島しょ地域で基地建設望まず 在フィジー
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中