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FRB議長、米通商政策巡り慎重な発言 影響への懸念にじむ
7月18日、パウエル米FRB議長は下院金融サービス委員会での証言で、保護主義の世界的な台頭はいずれ米国や世界の経済成長にとってリスクになるとの考えをあらためて示した。写真は18日、ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Mary F. Calvert)
[ワシントン 18日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は18日、下院金融サービス委員会での証言で、貿易政策はFRBの責務の範囲外とした上で、最終的には良い結果をもたらすかもしれないと述べるなど、トランプ政権に配慮した慎重な姿勢を示した。
だが、2日間の議会証言で議長は、FRBが表向き以上に貿易摩擦について懸念している可能性も示唆した。
議長は関税について、世界的な引き下げこそがトランプ政権の最終的な目標と考えられるとした上で、当面支障が生じても「状況改善に向け短期的に多少のツケを払う価値はあるかもしれない」と述べた。
企業側からは貿易摩擦を巡る不透明感やリスクにより、支出や投資計画をすでに変更しているとの声が聞かれると指摘。「貿易摩擦問題の煽りを受けている個別企業は本当に数多く存在する。20兆ドルもの経済規模で問題の表面化に時間がかかることから、そうした企業の総数は把握していないものの、この問題を懸念する企業の話は数多く耳に入る」とした。
FRBは6月に利上げを決定し、当局者は年内あと2回の利上げを予想した。パウエル議長は今週の議会証言でこれに矛盾する発言はしておらず、米経済は今後数年間、成長継続が見込まれるとの見方を示した。
しかし、議員から繰り返し質問を受けると、貿易を巡る対立が世界的な関税引き上げや賃金低下、投資減少、生産性低下、スタグフレーションにつながる「理論的な」リスクに言及した。
「保護主義によりさまざまなモノやサービスへの関税が長期間引き上げられ、結果として保護主義が一段と台頭すれば、われわれの経済には良くない」と指摘。「政府の政策を批判するわけではないが、貿易が開かれている国々では生産性や所得が高まることは紛れもない事実だ」と語った。
「米国は貿易戦争のさなかにいるか、いないか」という下院議員の質問に対して議長は、「私の言うべきことではない」と答えた。
コーナーストーン・マクロのアナリスト、ロベルト・ペルリ氏は「米政権が保護主義政策を続ければ、FRBは見通しへのリスクが拡大したとみて、利上げをためらう理由が増える」と指摘。米政権が関税を拡大すれば、市場が想定している9月の利上げは「容易な決定ではなくなる」可能性があると述べた。
*内容を追加しました。