ニュース速報

ビジネス

FRB議長、米通商政策巡り慎重な発言 影響への懸念にじむ

2018年07月19日(木)07時53分

7月18日、パウエル米FRB議長は下院金融サービス委員会での証言で、保護主義の世界的な台頭はいずれ米国や世界の経済成長にとってリスクになるとの考えをあらためて示した。写真は18日、ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Mary F. Calvert)

[ワシントン 18日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は18日、下院金融サービス委員会での証言で、貿易政策はFRBの責務の範囲外とした上で、最終的には良い結果をもたらすかもしれないと述べるなど、トランプ政権に配慮した慎重な姿勢を示した。

だが、2日間の議会証言で議長は、FRBが表向き以上に貿易摩擦について懸念している可能性も示唆した。

議長は関税について、世界的な引き下げこそがトランプ政権の最終的な目標と考えられるとした上で、当面支障が生じても「状況改善に向け短期的に多少のツケを払う価値はあるかもしれない」と述べた。

企業側からは貿易摩擦を巡る不透明感やリスクにより、支出や投資計画をすでに変更しているとの声が聞かれると指摘。「貿易摩擦問題の煽りを受けている個別企業は本当に数多く存在する。20兆ドルもの経済規模で問題の表面化に時間がかかることから、そうした企業の総数は把握していないものの、この問題を懸念する企業の話は数多く耳に入る」とした。

FRBは6月に利上げを決定し、当局者は年内あと2回の利上げを予想した。パウエル議長は今週の議会証言でこれに矛盾する発言はしておらず、米経済は今後数年間、成長継続が見込まれるとの見方を示した。

しかし、議員から繰り返し質問を受けると、貿易を巡る対立が世界的な関税引き上げや賃金低下、投資減少、生産性低下、スタグフレーションにつながる「理論的な」リスクに言及した。

「保護主義によりさまざまなモノやサービスへの関税が長期間引き上げられ、結果として保護主義が一段と台頭すれば、われわれの経済には良くない」と指摘。「政府の政策を批判するわけではないが、貿易が開かれている国々では生産性や所得が高まることは紛れもない事実だ」と語った。

「米国は貿易戦争のさなかにいるか、いないか」という下院議員の質問に対して議長は、「私の言うべきことではない」と答えた。

コーナーストーン・マクロのアナリスト、ロベルト・ペルリ氏は「米政権が保護主義政策を続ければ、FRBは見通しへのリスクが拡大したとみて、利上げをためらう理由が増える」と指摘。米政権が関税を拡大すれば、市場が想定している9月の利上げは「容易な決定ではなくなる」可能性があると述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックフライデーの米オンライン売上高は過去最高、

ワールド

北朝鮮の金総書記、空軍の核戦争抑止力を強調 式典で

ビジネス

中国製造業PMI、11月は8カ月連続50割れ 非製

ワールド

米・ウクライナ、30日にフロリダで会談 和平案協議
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 7
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中