ニュース速報

ビジネス

需給維持に緩和継続が重要、効果強まれば色々考える=桜井日銀委員

2018年05月24日(木)19時53分

 5月24日、日銀の桜井真審議委員(写真)は群馬県前橋市内で会見し、先行きの金融政策運営について現在の適度な需給バランスを維持するためにも、現行の緩和策を継続していく重要性を強調する一方、物価動向と緩和効果の強まりに応じた政策調整の可能性もにじませた。2016年4月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

[前橋市 24日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は24日、群馬県前橋市内で会見し、先行きの金融政策運営について現在の適度な需給バランスを維持するためにも、現行の緩和策を継続していく重要性を強調する一方、物価動向と緩和効果の強まりに応じた政策調整の可能性もにじませた。

桜井委員は午前の講演で、金融政策は「現在のような、適度に需給の引き締まった状態を長く維持することを目指すべき」と主張していた。

会見でも、需給は「現在がバランスが取れている状況に近い」と指摘。需給ギャップが「あまり大きくなる危険が出てくるとか、大きなマイナスになることは避けるべき」とし、「大胆に需要を強くしてしまうと、いろいろな不均衡が溜まりやすくなる」と供給制約も意識される中で、需要だけを意識した政策に否定的な考えを示した。

これを踏まえた先行きの金融政策運営は「需給のバランスをきちんと保っておくことに主眼を置きたい」と強調。需要に合わせて供給を伸ばしていくには時間を要することから「あまり急がずにやっていくのが大事だ」とし、物価上昇が鈍い現状では「イールドカーブ・コントロールの変更を考える必要はない。いろいろなことをやるのは早過ぎる」との認識を示した。

もっとも、先行きも景気拡大の持続や需給の引き締まりが想定されている中で、「ある程度物価に動きが出始めれば、金融緩和効果がさらに強まる。そうしたタイミングになった時は、いろいろ考える必要がある」と緩和効果の強まりに応じた政策調整の可能性もにじませた。

また、金融緩和による低金利の長期化が金融機関収益に累積的に影響を与えていることは事実としたが、「現時点でそれほど深刻な問題ではない。副作用によって政策を変える必要があるという段階ではない」と主張。

今後も金融緩和の効果と副作用を慎重に点検しながら金融政策運営を行っていくとし、「本当にマイナスの効果が非常に大きくなるのであれば、そこで新たな政策を考えなければいけない」と語った。

(伊藤純夫)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中