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WTO新規定、中国の通商慣行是正のための議論は無駄=USTR

2019年02月05日(火)14時34分

[ワシントン 4日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)は4日、中国の「重商主義的な(mercantilist)」通商慣行の是正に向けて世界貿易機関(WTO)規定の変更を議論することは無駄な行為だとの見解を示した。

USTRは、中国のWTO規定の順守状況に関する年次報告書を米議会に提出。この中で、経済・通商分野における中国の現在の姿勢を有意義な方法で制限するWTOの新規定の協議について、成功を期待することは「非現実的」との見方を示した。

日本やカナダ、欧州連合(EU)などは、WTO規定変更についての議論を開始しているが、変更には164の加盟国全ての合意が必要で、難航している。

USTRは、中国の通商慣行と経済システムの変更に焦点を当てた新たな指針に中国が合意する可能性は「極めて低い」と指摘した。

報告書では、先週行われた米中通商交渉の進展についての言及はほとんどなかった。トランプ米大統領は通商協議で大きな前進があったと評価した上で、包括的な通商合意を目指して中国の習近平国家主席と近く会談する考えを示していた。

しかし報告書は、米中間の溝を埋めるには膨大な作業が必要になると分析。中国がWTOルールを逃れ、外国企業の犠牲を基に国内企業を支援している例として、中国の新たなサイバーセキュリティー法や差別的な規制慣行などの構造的問題を取り上げた。また、中国はWTOや多国間貿易システムにとって「特有かつ喫緊の問題」になっているとした。

また、「中国が非市場経済構造と政府主導の重商主義的アプローチを維持し、貿易相手国に被害が及んでいる」と指摘した。

USTRは、米国はWTOの現行規定の順守や、米国の労働者や企業、農家および牧場経営者への打撃となる不公平で市場をゆがめる通商慣行について、中国に対して責任を課すと表明。

中国が経済と通商における姿勢を変えない限り、中国の非市場型経済システムがもたらすコストを米国でなく中国が負担することを確実にするため、適切な全ての措置を講じるとした。

*内容を追加しました。

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