ニュース速報

中国、技術移転強制の禁止を検討 外商投資法案が審議入り

2018年12月27日(木)20時02分

[北京/上海 27日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は外資系企業に関する外商投資法案の審議を開始した。技術移転の強要や外資の事業に対する政府の違法な「介入」を禁止する内容となっている。

米国は中国による知的財産権の侵害や強制移転を繰り返し批判しており、2国間の通商協議で争点となってきた。中国はこれまでそのような慣行は存在しないと主張してきたが、外国人投資家の市場アクセス改善や権利保護の強化を約束しており、新たな投資法によって対米摩擦の解消を目指すとみられる。

全人代は26日に同法案の全文を公表、最終版は39の条項で構成されており、2015年に公表された草案よりはるかに短いが、従来よりも明確に知的財産権の保護を打ち出している。「当局やその職員が行政手段で強制的に技術を移転することを禁じる」としている。

さらに、中国による投資を差別的に扱う諸国には「相応の措置」で報復する権利を留保するとの項目が盛り込まれた。

全人代常務委員会は2月24日まで市民からの意見聴取を行う。

法案が成立すれば、中国企業と外資の合弁会社などを規定する3件の既存法に代わることになる。ただ、成立までには1年以上かかる可能性もある。

国営新華社通信は27日、全人代の代表(議員)の多くが、「できるだけ早い採決」に向けて迅速な審理を求めていると伝えた。

ただ、常務委員の李飛氏は、来年3月の全人代で諮るべきと主張。「技術移転の強要」について、さらに明確化すべき点があるとの意見も出ており、法案がなお審議を必要としているもようだと新華社は伝えた。

法専門家などの間では、新たな法律によって外資系企業の利益がどこまで守られるかについて懐疑的な見方がある。

米法律事務所ハリス・ブリッケンのマネージング・パートナー、ダン・ハリス氏は「このような法律の将来的な実効性を占うには、過去を振り返るのが最善の方法で、中国はここ10年間、市場開放を約束してきたが、実際は5年前に停止したも同然だと広く認識されている」と述べた。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米特使がロに助言、和平案巡るトランプ氏対応で 通話

ビジネス

S&P500、来年末7500到達へ AI主導で成長

ビジネス

英、25年度国債発行額引き上げ 過去2番目の規模に

ビジネス

米耐久財受注 9月は0.5%増 コア資本財も大幅な
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 7
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中