日本の場合はこれから大量接種に進む段階で、職場での対応をどうするか、各企業としても、また社会としても考え方を整理しておいた方が良いと思います。接種は完全に個人都合であり、接種後の休養も自己責任などという考え方が広がると、接種が金曜日に集中してただでさえ難しい接種体制が崩壊する危険があるからです。

もう一つ、考えておかねばならないのは、解凍しすぎた場合の緊急接種という問題です。東京都千代田区で発生した冷凍庫の故障では、すでに温度が高く使用できない状態で発見されたことで、1000名分のワクチンが廃棄となっていますが、問題は、何らかの理由で数百から数千のワクチンが解凍されてしまって余るという局面です。

2月末にファイザー社が同社製造のワクチンに関して、極低温保存の基準を緩和したので、こうしたケースは減るかと思いますが、アメリカではこれまで「解凍してしまったワクチンが余る」という事件はかなり頻発しています。その場合は、年齢制限などを解除して、ワクチンがムダにならないように臨機応変に希望者を募集することが各州で行われています。

こうした「ワクチン余り」という事態は、様々な理由で起き得ることですので、その場合は公正な方法で幅広く接種希望者を募る制度を、日本でも用意しておく必要があると思います。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 進化する世界の鉄道
2026年10月20日号(10月14日発売)は「進化する世界の鉄道」特集。

鉄道黄金期を迎えたヨーロッパを旅する――コリン・ジョイス(ジャーナリスト)/豪快かつ特異なアメリカ大陸鉄道史/膨張する中国鉄路の野望/「夢の超特急」リニアの現実/韓国、アフリカ、インド……世界を駆ける鉄道新事情

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます