<トランプ時代の過度のポピュリズムから、アメリカは正常化へと方向を転じたのか>

同時多発テロから25年となる9月11日の金曜日、マンハッタン島南部の「グラウンド・ゼロ」では、恒例の追悼式典が行われました。形式はこの25年間ずっと守られてきたもので、犠牲者の氏名を遺族が2人ずつ交代しながら約3時間かけて読み上げました。

この式典では、政治家のスピーチは禁止されており、これも伝統になっています。トランプ大統領はこれを嫌ってニューヨークではなく、ワシントンDC郊外のペンタゴンでの慰霊式への出席を選択しました。ニューヨークの式典では、チェリストのヨーヨー・マ氏がバッハを演奏し、厳粛なムードで始まりました。

トランプ大統領の姿はありませんでしたが、バンス副大統領は列席し、存在感を見せていました。その他にも、ブッシュ元大統領夫妻、クリントン夫妻、オバマ夫妻、バイデン夫妻が参加し、25年という区切りに相応しい顔ぶれが揃ったと言えます。

そんな中で話題になったのが、ゾーラン・マムダニ現市長と、ルディ・ジュリアーニ元市長です。この2人が姿を見せたこと自体が既にニュースでした。9.11被災当時に市長として危機管理に腕を振るい、またマンハッタン南部の復興に道筋をつけ、同時に殉職者の葬儀には欠かさず列席したジュリアーニ氏は、ニューヨークにおける9.11被災という事件をある意味で代表する存在だからです。

マムダニ市長の出席に反対していたジュリアーニ

トランプ氏の顧問弁護士として複数の裁判に負け、一度は資産を失った同氏については、一時は健康不安説も流れていたのですが、今回の25年目の節目にあたって、様々な発信を再開していました。その中で、追悼式典の直前には「マムダニ氏は式典に列席すべきではない」と激しく主張してもいました。

マムダニ氏は、ウガンダ出身の移民一世でイスラム教徒です。ジュリアーニ氏によれば、「テロリストがイスラムの信仰を動機としてテロ攻撃をしたのであれば、犠牲者の遺族感情に照らしてイスラム教徒の市長が出席するのは望ましくない」というのでした。これに対して、マムダニ氏は「9.11の追悼式典は遺族のものであり、政争の場ではない」という立場から、市長として追悼式典を重視するとしていました。

こうした事前の「対立」があった中で、否が応でもこの両名に注目が集まったのですが、驚いたことに、両氏はお互いの姿を認めると歩み寄って固い握手を交わしたのです。それどころか、ジュリアーニ氏は、「私は君のために祈っているよ。(ニューヨーク市長というのは)実に困難な職務だからね」という温かい言葉をマムダニ氏にかけたのでした。すぐ隣にいた、遺族らしい男性が「何てことだ」と不快な表情をしたのも含めて、このシーンを捉えた動画はたちまち拡散しました。

「トランプ時代」は終焉に向かっているのか?
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