2022年、ポーランド中北部の村ピエンで発見された「75番墓」が、4年を経て再び注目を集めている。
75番墓に埋葬されていたのは、17世紀半ばに埋葬された若い女性である。研究チームから「ゾシア」と名付けられたこの女性は、首元に刃を向けた鉄製の鎌が置かれ、左足の親指には三角形の南京錠が取り付けられるという極めて異例の方法で埋葬されていた。こうした特異な埋葬様式から、発見後、国内外のメディアは彼女を「吸血鬼」と呼んで報じた。
ポーランドのニコラウス・コペルニクス大学は、埋葬されていたのは「吸血鬼」だったとは限らないとしつつも、この埋葬についていわゆる「反吸血鬼的」な埋葬慣行と解釈していた。鎌や南京錠は、死者が生者に害を及ぼすことを防ぐための防護的な処置だったというのだ。
時は流れ2026年7月、ニコラウス・コペルニクス大学などの国際研究チームはこの特異な墓についてDNA、放射性炭素年代測定、安定同位体、金属・繊維分析などを組み合わせた学術研究を公表した。
論文では、ゾシアは17世紀半ばごろに埋葬された若年成人とされ、鎌と南京錠の併用は既存の考古学文献では例が確認されていないとしている。また墓には一度埋葬した後に再び手が加えられた痕跡があり、研究者らは南京錠を伴う最初の埋葬の後、墓が再び開けられ、その際に鎌が追加された可能性を示した。
ゾシアがなぜこのような扱いを受けたのかは判明していない。2026年の研究では、DNA分析では母系祖先が北欧などの非在地集団につながる可能性が示された一方、同位体分析からは、ゾシア本人はピエン周辺で幼少期を過ごした可能性が高いとされた。
また、口蓋などには緑色の変色が確認され、元素分析では銅などが検出された。研究者らは、銅を含む物体または物質が口腔深部、あるいは鼻腔から入れられた可能性を指摘しており、これも死者に対する第三の防護措置だった可能性があるとしている。
現在も研究は続いており、ゾシアの死因などについては今後の古病理学的分析などを待つ必要があるという。
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