米ネットワーク機器大手シスコシステムズとサイバーセキュリティー企業レコーデッド・フューチャーの研究者らは14日、カザフスタンを拠点としている可能性が高いハッカー集団が今年、ロシアの石油精製施設や地方自治体のネットワークに侵入していたとする共同報告書を公表した。

報告書は、シスコのチーエン・シェン氏とレコーデッド・フューチャーのジュリアン・フェルディナンド・フェーゲレ氏がまとめたもので、研究者らはこのハッカー集団を「サイレント・リンクス」と呼称。「カザフスタンを拠点としている可能性が高い」と推定し、中央アジア各国の政府機関への侵入も確認されたとしている。

研究者らによると、サイレント・リンクスは標的型メール攻撃(スピアフィッシング)を多用し、重要文書を装った添付ファイルを開封した相手の端末にマルウエアを感染させていた。

米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)でサイバー政策や紛争を研究するオレグ・シャキロフ氏は「サイバー諜報活動が少数のサイバー大国だけの専売特許ではないことを示している。他国も追い上げている」と指摘した。

報告書によると、サイレント・リンクスはロシア南部のオルスクネフチェオルグシンテズ製油所を標的にしたほか、モスクワの東約425キロに位置するニジニ・ノブゴロド市の行政機関への侵入を示す証拠も確認された。

中規模の同製油所はカザフスタン国境から約25キロに位置する。ウクライナのドローン(無人機)攻撃による度重なる操業停止を受け、ロシア政府はカザフスタンの精製能力活用を進めている。またニジニ・ノブゴロドはボルガ川とオカ川の合流地点に位置し、内陸国カザフスタンにとって重要なカスピ海の上流域にある。

同製油所とニジニ・ノブゴロド市当局はコメント要請に応じていない。

研究者らは、サイレント・リンクスがカザフスタンと関係している根拠として、悪意あるソフトウエアのコードがコンパイルされた直後にカザフスタン国内からテストされた形跡や、活動時間帯がカザフスタンの勤務時間と一致している点などを挙げた。また、同集団の活動はカザフスタンの戦略的利益とも整合していると分析している。

例えば、カザフスタンが今年初めにタジキスタンとの条約を批准していた時期に、タジキスタン政府機関が侵害されていた証拠が見つかったほか、4月のカザフスタンとベラルーシの外交会談を前に、ベラルーシ政府機関が同様に侵害されていた証拠も確認されたという。

カザフスタン、ロシア、タジキスタン、ベラルーシの各政府はいずれもコメント要請に応じていない。

[ロイター]
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