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ポングラッツ教授の研究によると、猫は飼い主のまなざしを見るだけで、何を考えているか推測することができる。おかげで大昔から人間と程よく距離を保ちながら居住空間を共有し、かわいがられることに成功してきた。いま世界で約2億2000万匹の猫が人間に飼われている RF PICTURES/GETTY IMAGES

22年の1年でアメリカ人はペットの飼育に1368億ドルを費やし、そのかなりの部分が猫に使われた。

現在ペットとして飼育される猫は世界におよそ2億2000万匹おり、そのうちの5880万匹がアメリカで暮らす(犬の飼育頭数は世界で4億7100万を超える)。

猫がそのカリスマ的な魅力で人の心をつかんだ証拠は、有史以来残っている。

04年にキプロス島で9500年ほど前の墓地を発掘したところ、生後8カ月の小猫と一緒に埋葬された成人の墓が見つかった。キプロスにもともと猫はいなかったから、船で連れてこられたのだろう。

1万年以上前から人間と同居

古代エジプトでは、人間と猫の特徴を併せ持つ女神バステトが崇拝されていた。

バステトは太陽神ラーの娘で、その信仰の中心地だったナイル川デルタの都市ブバスティスの遺跡では、猫のミイラや猫の彫刻が多数発見されている。古代エジプトの建物には、猫の装飾が施された柱も多い。

猫は不思議な力を持つ生き物と考えられていた。

人間と猫が同居するようになったのは、少なくとも1万2000年前のことだと、米ミズーリ大学獣医学部のレズリー・ライオンズ教授は語る。

メソポタミア地方の氷河が解けて、チグリス川とユーフラテス川流域の肥沃な三日月地帯で農耕文明が生まれると、人々は定住するようになった。

やがて農作物やゴミの集積場所がネズミを引き寄せ、ネズミが猫を引き寄せた。

このプロセスは、猫と人間の関係が、犬と人間の関係とは異なるものになった理由を説明している。

初期の犬は、餌として人間の残飯をもらわなければならなかったから、人間の心をつかむ能力にたけた種が生き残った。

また、狩猟採集民は狩りを手伝ってくれる犬を重宝した。こうした環境が、現代に至る犬の進化や淘汰に影響を与えた。

これに対して初期の猫は、人間の生活圏の周縁で、人間の邪魔をしないように獲物を捕獲することで生き残った。

その一方で、犬よりも体が小さく、群れをつくらない性質から、オオカミやコヨーテ、ワシ、フクロウ、アライグマなどに捕食されやすかった。

だから猫は犬よりもずっと警戒心が強い動物に進化したのだ。好奇心が強いけれど、用心深く、不透明な状況ではひとまず身を隠す。

ポングラッツが研究しようとした猫が、空調設備のダクトに逃げ込み、出てこようとしなかったのもそのためだ。

こうした生来の臆病な性質は、人工的な交配により克服できる場合がある。それでも、人間が石器時代から犬を飼育して望ましい性質を伸ばしてきたのに対して、猫を訓練するようになったのはごく最近だ。

現在も猫は「半家畜化」されたというのがせいぜいだろう。

猫も社会的に振る舞う
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