最新記事

ネコ

ネコにゆっくりと瞬きすると、ネコもゆっくりと瞬きをした......研究結果

2020年10月13日(火)17時00分
松岡由希子

「ゆっくりと瞬きするとネコと仲良くなりやすい」...... Elie Bitar-iStock

<人がネコと同じように、ゆっくりと瞬きすると、ネコとの絆を構築できる効果があることが明らかとなった>

ネコが目を細くしてゆっくりと瞬きをする仕草は、人の「デュシェンヌ・スマイル(本物の笑顔)」に相当するもので、ネコがリラックスをして、満足しているときによくみられる。そしてこのほど、人がネコと同じように、ゆっくりと瞬きすると、ネコとの絆を構築できる効果があることが明らかとなった。

「ゆっくりと瞬きするとネコと仲良くなりやすい」

英サセックス大学とポーツマス大学の共同研究チームは、2種類の実験を行い、ゆっくりと瞬きをする人に対するネコの反応を観察した。一連の研究成果は、2020年10月5日、オープンアクセスジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」で公開されている。

最初の実験では、14世帯で飼育されている計21匹のネコをそれぞれ家の中でくつろがせ、飼い主には、ネコから約1メートル離れた位置で座り、ネコが飼い主を見たときにゆっくりと瞬きをしてもらった。その結果、座っているだけのときに比べ、飼い主がネコに向かってゆっくりと瞬きをすると、ネコも飼い主にゆっくりと瞬きをした。

2つ目の実験では、別の8世帯で飼育されている計24匹のネコを対象に、これらのネコと初めて接触する研究チームのメンバーがゆっくりと瞬きをして反応を観察した。最初の実験の結果と同様に、研究チームのメンバーが無表情であったときよりも、ネコに向かってゆっくりと瞬きをしたときのほうが、ネコはゆっくりと瞬きをした。また、メンバーが無表情なときよりも、ゆっくりと瞬きをした後のほうが、ネコがメンバーに近寄ってくる傾向にあったという。

人とネコとのコミュニケーションの検証

研究論文の責任著者でサセックス大学のカレン・マッコム教授は、この研究を「人とネコとのコミュニケーションにおける『ゆっくりとした瞬き』の役割を初めて実験的に検証したものだ」と位置づけ、「ネコの飼い主の多くはすでに気づいていたことだが、その証拠を発見できたことは喜ばしい」と評価している。

「リラックスした笑顔のように目を細めてから、数秒間目を閉じてみてください。ネコも同じように反応し、一種の会話を始めることができます」

また、人がゆっくりと瞬きするとネコもゆっくりと瞬きをする理由について、筆頭著者のサセックス大学の心理学者タスミン・ハンフリー博士は、「人が『ゆっくりとした瞬き』を前向きなものと捉えたため、ネコがこの仕草を発達させた可能性がある。ゆっくり瞬きすると人からご褒美がもらえることをネコが学んだとか、凝視を中断させる手段としてゆっくりと瞬きするようになったといった説も考えられる」と述べている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中