民主主義に対する嫌悪

民主主義は美化の対象でも嫌悪の向かう先でもない。だが、現実の社会では、民主主義は時に疎まれ時に嫌悪される。しかも、心底民主主義が嫌いな人だけでなく、制度としてはいやいやながら受け入れる潜在的な嫌悪派、無関心派を含めると結構な割合になり、むしろそれが多数派のようだ。そういう意味でも筆者は少数派だ。

だが、民主主義以上に望ましい政治システムがあるとは思えない。民主主義は、自由(=人権)と結びついていること、権力の移譲が最も円滑に最も犠牲を減じて行うことができること、権力の暴走を押さえ腐敗を免れるに最も効果的な制度であること、そして何より社会統合に最も適した制度であると言える。

先に触れた経済的格差はどのように是正されるべきなのか、あるいは同じことの裏返しだがどこまで放置されるのかという公共的問題が、否応なしに(米国だけでなく)今現在の私たちに突き付けられている。

民主主義論と何の関係もなさそうだが、この経済的格差こそが民主主義社会の分断を生んでいるという見方は、それほど珍しくない。そしてこの分断は、民主主義社会を破滅させようとしている。この破滅論もそれほど珍しいものではない。

民主主義はもはやその歴史的使命を終えたのだろうか。何か新しい政治的システムに取って代わられるべきだろうか。もちろん、筆者はそうは思わない。民主主義以上の制度があるとは思えない。

民主主義社会の分断
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