Tamiyuki Kihara Poppy McPherson
[東京/バンコク 30日 ロイター] - 金融犯罪対策の国際機関である金融活動作業部会(FATF)に対し、日本政府がミャンマーをブラックリストから除外するよう働きかけていることが分かった。ミャンマーは2021年の軍事クーデーター以来国際的に孤立してきたが、歴史的に親密な関係を築いてきた日本は欧米のような経済制裁を科してこなかった。米国もこのところミャンマーと接近している。
日本政府関係者と事情に詳しい別の関係者が明らかにした。FATFはマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与などを監視する国際組織。加盟する40カ国・地域に、ミャンマー関連取引の審査強化措置を求めている。ブラックリストに載るのはミャンマー、イラン、北朝鮮の3カ国。FATFはパリで総会を開いており、30日に会合の成果を公表する。
ミャンマーがリストから外れれば、21年のクーデターで軍が実権を握って以降、特殊詐欺拠点や不正金融をめぐる懸念から厳しい監視対象となってきた同国との取引に対する審査が緩和されることになる。ブラックリストの見直しが近く実施されるかは現時点で不明。関係者の一人によると、少なくとも日本以外のアジア主要国1カ国もミャンマーのリスト除外を働きかけている。
FATFを担当する日本の財務省は、業務時間外で直ちに取材に応じなかった。FATF事務局の報道官は、会合は継続中で協議内容は非公開とし、ブラックリストに変更があれば30日の閉幕後に発表すると回答した。ミャンマー政府の報道官はコメントの求めに応じなかった。
今回の動きは、ミャンマーとの関係再構築を図る一部諸国の動きの一環の可能性がある。米国は先月、国軍が支援するミャンマー政府と首都ネピドーで直接協議。クーデター以降で最高レベルの接触となった。特殊詐欺拠点の摘発が主要な議題だったが、ミャンマーに豊富に埋蔵されるレアアース(希土類)の確保を巡る協議につながる可能性もある。両国は今月上旬、東京でも非公開協議を開いた。
クーデター後に欧米企業などが相次いで撤退する中、日本企業はミャンマーで大規模な事業を維持してきた。関係者の一人によると、日本はミャンマーがブラックリストから除外されれば各国企業が同国で事業を展開しやすくなり、経済回復につながるとみている。
FATFはミャンマーが制度上の不備を是正する期限を守れなかったため、22年10月にブラックリストに追加した。正式には「行動要請対象の高リスク国・地域」 リストと呼ばれている。
FATFは当時、加盟する国と地域に対し、ミャンマーとの金融取引に厳格な管理措置を講じる必要があると表明した。一方で、人道支援や合法的な非営利活動のための資金移動、送金を妨げないよう求めた。
FATFは今年6月の評価で、ミャンマーには一定の進展が見られるものの、資金洗浄の捜査・訴追を確実に行うことなど、不備の是正が急務だと指摘した。また、サイバー犯罪に伴う不正な金融活動が引き続き懸念されるとした。