Takahiko Wada Takaya Yamaguchi
[16日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は16日、基調的な物価上昇率について、2%に「かなり近づいている」と指摘する一方で、2%目標に到達したかの判断は29日からの金融政策決定会合で「政策委員の間でしっかり議論して結論を出したい」と述べるにとどめた。
9月の決定会合以降の経済のデータは「おおむね見通し通りに動いている」とし、今回の出張で様々な当局者と意見交換をしたが、自身の見立てと「矛盾するような重要な情報がもたらされたとは考えていない」と話した。
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などへの出席のため訪問したタイ・バンコクで会見した。
植田総裁は基調物価が2%に迫る中、「(基調物価が)これ以上上がることは容認できず、その定着を政策の大きな目標にする」と説明した。植田総裁は9月の決定会合後の会見で「政策の局面が変化した」と言及していた。
インフレ圧力について、中東情勢と人工知能(AI)関連需要の高まりを特に注視してきたが、日銀と各国当局者の間で見解に「大きな食い違いはないとの印象を持った」と述べた。AI関連の需要動向について、日銀よりも「やや心持ちしっかりしているとみている当局者が少し多いと思った」とも話した。日銀は10月会合で「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を議論する。
植田総裁は、基調物価が2%に近づき、金融環境が緩和的な中で、経済・物価・金融情勢に応じて「政策金利を引き上げて緩和度合いを調整していく」と述べた。政策調整のタイミングやペースについては、中東情勢やAI関連の需要動向、為替相場の動きを見ながら、見通しの確度やリスクを点検しながら検討していくと改めて説明した。
中立金利については「はっきりとこの辺にあると申し上げられるような材料があるわけではない」とし、これまでの利上げの累積的な効果を見極めながら判断していきたいと述べた。
8月31日から9月1日に米国・アッシュビルでG20や主要7カ国(G7)の財務相・中銀総裁会議が開かれた際、植田総裁はベセント米財務長官と会談した。この日の会見では、アッシュビルでの会談以降は「コミュニケーションは特に取っていない」と述べた。ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長とは「様々な意見交換をした」としたが、具体的な内容は明らかにしなかった。
植田総裁とともに会見に臨んだ三村淳財務官は、足もとの金融市場の状況について「今に限らず、いつにあっても常に金融市場の状況をしっかりと注視し、決しておかしなリスクが顕在化しないようにしっかりと取り組む」と述べた。