揺らぐ「世界最大の武器輸出国」アメリカの地位
世界最大の武器輸出国としてのアメリカの地位は揺らいでいる。ウクライナと中東の戦争は、高価で高度な兵器システムを重視してきたアメリカの防衛産業基盤の限界を露呈させた。貿易摩擦や兵器納入の遅れ、より安価な無人兵器への移行を背景に、ドイツ、インド、台湾、日本、韓国など、アメリカへの依存を減らして独自の軍事・防衛能力を強化しようとする国が増えている。
ただし同盟国としては、軍事運用の自由と最先端AIへの継続的なアクセスの確保が必要となる。その最も確かな保証は、相互依存の関係だ。アメリカはAIの技術基盤の重要な部分を握り、同盟国はサプライチェーンに不可欠な部分を担う。
そうすれば同盟国はアメリカの最先端AIモデルを利用し、ウクライナのドローン自律制御モデルや戦場管理システム「デルタ」のような独自のソフトウエアを強化できる。一方でアメリカは国内では容易に再構築できないドローン生産、半導体製造、精密加工などを同盟国に頼れる。
AI開発企業の協力も不可欠だ。それがなければ、政府主導の輸出促進策は成功しない。国防生産法の発動などで協力を強制すればAI企業の人材流出や評判の悪化を招き、中堅国はアメリカの強すぎる影響力への懸念を強めるだろう。
中堅国が迫られている判断は、アメリカか中国かという二者択一よりはるかに複雑だ。軍事AIが今後どのように世界へ広がるかによって、アメリカが同盟国の防衛の中核であり続け、かつてパックス・アメリカーナ(アメリカによる平和)を支えた圧倒的な軍事的優位と同盟国の結束を取り戻せるかどうかが決まる。
曖昧すぎる目標、敵国の軽視、自国軍事力への過信……長期化・泥沼化したベトナム戦争との共通点