自社技術を軍事目的に利用しない方針を掲げるAI企業

アメリカのAI覇権を阻むもう1つの大きな障害は、開発企業だ。主要な米AI企業は、防衛産業では異例の理念や使命を掲げている。

アンソロピックは「クロード憲法」で、最先端AIが「前例のないほど圧倒的な軍事的優位」をもたらす可能性に懸念を示している。ディープマインドの創業者らは2014年に会社をグーグルに売却する際、自社の技術を軍事目的に利用しないことを条件にしたと報じられている。

一方、オープンAIは米国防総省との協力を始めた24年、利用規定にあった「軍事および戦争」への利用禁止という文言をひそかに削除した。

AI兵器の時代、「アメリカ頼り」は終わるか
グーグルなどとイスラエル政府の契約が軍事活動に使われていると抗議する従業員ら(24年) CRISTINA MATUOZZI-SIPA USA-REUTERS

こうした理念は企業統治を形作り、人材採用や経営判断にも影響を及ぼしている。グーグルは18年、数千人の従業員が抗議書簡に署名したことを受け、国防総省の「プロジェクト・メイブン」から撤退。さらに、自社のAIを兵器や監視活動に利用しないという倫理規範を公表した(25年2月に規範を改定した際、その文言を削除した)。

アンソロピックが今年2月、自社のAIを完全自律型兵器に利用することを拒否して国防総省の契約から外されると、オープンAIが後を引き継いだが、その直後に複数の幹部が退社を表明した。グーグルでも国防総省との契約やイスラエル軍との関係に対し、従業員から反発が起きている。

AI兵器の時代、「アメリカ頼り」は終わるか
オープンAIのサム・アルトマンCEO ELIOT BLONDET-ABACA-REUTERS

従って、政府主導でAI輸出を促進するにも、こうした企業は従順な供給業者にはならない。アメリカ製AIをどこまで普及させられるかは、開発企業がどの国への提供に同意し、どのような条件や制限を設けるかが大きな要因になる。

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